北海道建設新聞社
2009/12/14
【北海道】円山動物園がゾウ受け入れ目指し基礎調査着手へ
札幌市円山動物園は将来、ゾウを受け入れたい意向で、2009年度内に基礎調査に着手する予定だ。調査では、国内外のゾウの飼育状況や受け入れるための具体的な手法、飼育施設・飼育体制などを専門家の意見に基づいて整理する。施設整備に掛かる費用は、他の動物園の事例から8億―13億円程度必要になると想定されている。調査結果は10年度に見直す動物園基本計画の基礎資料とする。
現在、道内でゾウを飼育しているのは、おびひろ動物園のみ。円山動物園にもアジアゾウの「花子」がいたが、07年1月に亡くなっており、このままだと将来、道内の動物園にゾウが一頭もいなくなることが懸念される。
こういった経緯から、円山動物園が07年度に設置した市民動物園会議でも、ゾウの受け入れについて議論されており、仮に同園で飼育する場合、輸出国との交渉や施設整備、職員技術研修などに、10年程度の期間を要することが報告されている。
また、ゾウはワシントン条約で守られ、繁殖や保護の目的でなければ、輸入することができない。さらに、群れで行動する習性から、オス一頭に対しメスを複数頭の群れで飼育しなければならない。このため、ある程度の広さを持った動物舎と屋外放牧場の確保が必要だ。
施設整備に要する費用は、福岡動植物園や上野動物園などを参考に、寝室や産室などを備えた動物舎と屋外放牧場を設けた場合、8億―13億円程度必要になると想定されている。
円山動物園では、09年度内に基礎調査を実施し、国内外の飼育の現状や受け入れに向けた具体的な手法、飼育施設と飼育体制、職員研修などについての課題と、その解決方策を整理する。
また、アンケート調査で、調査用紙を市民1万人に郵送しており、その結果を10年2月末ころにまとめ、ゾウ受け入れの判断材料の一つとする考えだ。