福島建設工業新聞社
2009/12/04
【福島】直轄事業の地方移管で「地方単独事業は倍増」と川内衆院国交委員長
「公共事業が必要かどうか」など無意味な議論。必要に決まっている。直轄事業を極力地方自治体に移管することによって、地方の単独事業は倍増する―。福島県建設業協会青年部(菊地一樹会長)は2日、東京・平河町の海運クラブ内で民主党の川内博史議員(衆議院国土交通委員長)、玄葉光一郎議員(同財務金融委員長)と意見を交わした。この中で川内議員は、「国民はダムのように国がやる大型事業のみを公共事業と思いこみ、ムダなことをしていると受け止められている」「(地方の)建設業は、単に『公共事業は必要』と叫ぶだけでなく、(生活に密着した)単独事業が必要だと主張すべきだ」と語り、「(直轄工事を)地元でできるようにすることは、民主党の地方主権の考え方とマッチする」と明言した。このことについて玄葉議員も、(各種補助金などの)一括交付金化は23年度から実施する見通しを示しながら、今後3年程度で形が見え始め、完全に移行するには10年程度かかりそうだと見通した。
同青年部からは菊地会長はじめ会員20人が出席。菊地会長は、政権交代によって八ツ場ダム中止に象徴されるように公共事業政策が厳しさを増していることで「地方の中小建設業にどう影響するのか期待より不安が募っている」と率直に胸の内を語り、「いいも悪いもざっくばらんに(新政権の考え方を)聞かせていただき勉強したい」と冒頭、あいさつした。
これに対して玄葉議員は「公共事業については自公政権でも大きな流れはあった。いま大変なのは前政権で試算していた税収が大きく落ち込む見通しで、予算編成に総力を挙げている」と率直に現況を説明。さらに「公共事業すべてを否定するつもりはない。建築分野でも建築物の耐震化は重要なことだし、住宅のエコポイント構想も具体化してくる」「しっかりした企業経営に徹しられ、雇用問題も含めお互いに地域を支える仲間として連携しながら頑張っていきたい」と語り、リップサービスなしで本音での交流を提言した。
川内議員は「金が地域で還流するなど乗数効果の高い公共事業は必要だ」としながら「ただ、建設業協会などが『公共事業は必要だ』だと叫んでいるだけでは国民の共感は得られない。地域のためにどんな公共事業が必要なのかを唱えていくことだ」「大型直轄事業は国民の意識とどんどんかい離していく。国が直轄事業を続けることは地域経済のためにならない」などと指摘した。
同議員はさらに「(自公政権で)少なくなった公共事業が、新政権でさらに減るのではないかという声があるが、(直轄工事を地方に移すことによって)地方単独事業という形で倍増する」と繰り返し言い切り、決してリップサービスではないことを強調した。
そして、「地方の建設業は、災害時にはユンボやダンプを出して土砂を取り除いたり堤防を築いてきた。オレたちがいなければという誇りをもってきたはず。その建設業を無くすような無責任なとことはできない」と地場建設業の役割に理解を示した。
意見交換では、青年部から入札制度の問題点や一括交付金になると市町村によっては、公共事業に回らなくなる恐れがあること、(地方単独事業が拡大するまで)企業の体力勝負になることなど忌憚のない意見が出された。
政権交代後、県内の建設業団体が新政権執行部と懇談するのは初めてで、両議員は本音で意見を交わすことに前向きで、同青年部の行動に敬意を表した。