東海4県土木施工管理技士会会長会議が26日、静岡市内のホテルで開かれ、国土交通省中部地方整備局の野田徹企画部長らと意見交換した。技士会側は、新政権下にあって先行きの不透明さに対する不安感を口にする一方、災害時の地元企業の貢献に対する一層の評価を求めた。野田部長はあいさつで現状の厳しさに理解を示し、「1件ごとの工事の収益性を少しでも上げようとしてるのが技士の皆さんだ。皆さんの負担の原因が発注者側にあるのならば、速やかに排除しなければならない」と語った。
開会に当たって、主催県の山田壽久静岡県会長は、技士を取り巻く環境がますます厳しくなっている中でも「日々努力し研さんを積み、優秀な土木技術者になることが重要。一層の技術の研さんに努めていきたい」とあいさつした。
来賓の野田部長は、品質確保に対する技士の役割を評価。その上で国の職員がワンデーレスポンス、設計変更、三者会議といった取り組みの「意味合いを理解し、きちんと行っていくことが重要」と指摘した。
また、全国土木施工管理技士会連合会の猪熊明専務理事は「「発注者とのパートナーシップを組んで、設計変更など数々の問題に取り組みたい」と述べた。
会議では、各県から意見を発表。三重県の宮本武蔵会長は、災害発生時の地元建設業者の活躍について、発注者からも対外的にPRしてほしいと訴えた。岐阜県の前田守廣会長も、そうした地元貢献を一般競争入札でも加点評価するよう求めた。愛知県の鈴木奎吾副会長は「(建設業者に)林業、農業、海外へ進出しろといっても全員が行けるとは思わない。失業者が増える」と懸念。また、山田会長も「土木技術者の働ける場所が減ることは致命的だ」と先行きへの不安を示した。
意見交換でも、「(前原建設相が言う)適正な業者数とは」「一方で失業対策。一方で建設業者が多すぎると言う。国はどう考えているのか」「土木を目指す子どもたちがいなくなる」など、先行きに対する不安感が多く口に出された。
中部地整側も、例えば除雪作業の引き受け手がいなくなってしまったという地方もあることを紹介し、業界同様に懸念。既に実施している地域貢献を評価する取り組みを説明するなど、発注者と受注者の一層の情報や「思い」の共有の必要性を訴えた。
当日の出席者は以下の通り。
中部地方整備局
▽野田徹企画部長▽西川友幸技術調査管理官▽高松信治技術管理課長▽小川智弘静岡国道事務所長
土木施工管理技士会
▽猪熊明全国技士会連合会専務理事▽藤井千代喜愛知県会長▽鈴木奎吾同副会長▽前田守廣岐阜県会長▽平田佳史同技術顧問▽美濃島浩同事務局長▽宮本武蔵三重県会長▽山内典久同課長補佐▽山田壽久静岡県会長▽植松盛雄同副会長▽中村嘉宏同副会長▽笈沼正二同常務理事
建通新聞社 静岡支社