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北海道建設新聞社
2009/12/03

【北海道】ストアス不足深刻化−石油元売り減産が直撃

 石油元売り各社が減産体制に転じ、全国的にアスファルト合材の原料となるストレートアスファルトの供給不足が深刻化している。とりわけ生産、輸送コストが高い北海道、東北は影響が直撃し、道内では「(プラント)タンクが空っぽになった。いつ入るか分からない」と途方に暮れる舗装会社も出現している。供給が安定化しなければ、公共工事の道路舗装は大打撃となり、最悪の場合、工期に間に合わない事態も想定される。
 北海道アスファルト合材協会は1日付で「ストレートアスファルトがない」と非常事態を宣言。役員らを緊急招集し、打開策を協議した。
 役員ら関係者によると、品薄状態が表面化したのは、11月17日前後。「降ってわいたようにストレートアスファルトの供給が止まり、現場が大混乱した」と当時の戸惑いを語る。
 特に道東や道北への供給が極端に減り、ある舗装会社は「大きな現場は後回しにして、小さな現場から片付けている」と語る。本道は11、12月に道路工事の仕上げに入り合材の需要がピークとなる。そこに品薄が重なり、混乱を大きくした格好だ。
 別の舗装会社は「遠隔から運ぶストアスは運賃を負担している。経費がかさみ利益が減っている」「本州の需要期となる1月からは再び価格上昇の気配がある」「来年3月までの工期に間に合うか、やきもきしている」と口々に不安を語っている。
 同協会の上坂光男会長は「市場原理なので行政に対策を求めても難しいかもしれないが、危機意識を共有したい」と語り、発注官庁に理解を求めている。
 舗装工事で使うアスファルト合材は、ストアスと重油から造られる。いずれも原油精製時の連産品だが、今回の不測の事態はストアスの出荷減が要因となっている。
 石油元売り各社は、近年の需要減退局面を受け、製油所の原油処理量を下げている。石油連盟によると、東日本全体の稼働率は11月中旬で73.9%。フルの生産力から3割近く下げて動いている。
 メーカー別では、コスモ石油が2009年10―12月の原油処理計画について、稼働率を66.8%にすることを決めた。また、出光興産も12月の原油処理量を前年比98%とする考え。当初計画より10万`追加減産し、10―12月の生産量を前年実績から50万`ほど少なくする。
 ストアスは石油精製時の残留物で、製油所の稼働率が落ちると、その生産量が下がる。原油から1―2%しか生産できず、ガソリンや軽油と違い利益率の低い製品のため、その影響は他の石油製品より大きく受ける。
 本州から製品を持ち込む際の配船の少なさも要因だ。道内のストアス生産基地は現在、新日本石油精製の室蘭製油所だけ。「生産量に対し、需要が50%近く上回っている状況」(ストアス業界筋)。全国的な供給不足のほか、しけによって船舶を接岸できないこともあり、本州から製品を補えない現状にある。
 陸上輸送のローリーもひっ迫している。網走油槽所が9月末で閉鎖したため、道内の出荷基地は函館と小樽、苫小牧、留萌、釧路の5カ所に。10月以降、道東地域の供給タイトが顕著になり、道内5基地からエリアを越えてローリーが奔走するという事態に陥っている。