北海道建設新聞社
2009/11/17
【北海道】中小企業の新事業進出が激減−経営難で余裕なく
新事業進出を図る道内の中小企業が、著しく減少している。道経済部によると、新事業進出を目的とする経営革新計画を道に提出し、2009年度に入り10月末までに承認を受けた企業は、08年度同期の半数以下の16社にとどまっている。本業の立て直しを優先せざるを得ず、新事業にまで手が回らない企業側の厳しい実態が垣間見える。
中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画は、新たな商品やサービスの開発を目指す企業が作成する、3―5年を期間とするビジネスプラン。経営革新計画を道に提出し知事の承認を受けた企業は、金融機関による助成制度や融資制度の適用対象となるほか、税制上の優遇措置を受けられる。
09年度に入り10月末までに承認を受けた16社の業種は、設備工事業と食料品製造業、飲食店が各2社、総合工事業と鉱業・砕石業・砂利採取業、技術サービス業、不動産取引業、窯業・土石製品製造業、機械器具小売業、廃棄物処理業、プラスチック製品製造業、専門サービス業、広告業が各1社。半数の8社が札幌市内の企業で、ほかは釧路市内が3社、旭川市内と岩見沢市内が各1社などとなっている。
道は1999年度から、経営革新計画の承認作業を開始。過去の10月末段階の承認企業数は、08年度は38社、07年度は53社という状態で、年度トータルで見ると、ピークの05年度には178社、06年度には127社が承認を受けていた。09年度は、このままのペースだと年末段階で20件に到達しないことが予想される。
一方、99年度からの承認企業数は、今回の16社が加わったことで794社となり、800社台にあと一歩という段階にまで迫っている。
09年度の急激な減少理由について、商工金融課は「経営難が続き、新事業への余裕がない企業が増えているためでは」(経営支援グループ)と話している。