県県土整備部(橋場克司部長)と千葉県建設産業団体連合会(鈴木雅博会長)との意見交換会が9日、千葉市内のホテルポートプラザちばで開かれ、県土整備部から橋場部長をはじめ各課長らが、また、建産連からは鈴木会長をはじめとする正副会長と理事のほか、構成団体の長や専務・常務理事及び事務局長らが出席した。 意見交換会に先立ちあいさつした建産連の鈴木会長=写真中=は、「先日の建設業協会と県土整備部との意見交換会でも申し上げたところであるが、前自民党政府が編成した補正予算により現在、一時的とはいえ受注状況が改善しつつある中で、民主党に政権が移行してからは、『コンクリートから人へ』というキャッチフレーズが様々な場面で持ち出され、従来型の公共事業については、さらに抑制していく方向に進んでいることに強い懸念を抱いている」との危機感をにじませたうえで、「現実に、来年度の公共事業予算の大幅な削減方針でも明らかなように、建設産業にとっては誠に厳しい見通しになっている」と指摘。
建産連としては、「地方経済と雇用を支える基幹産業として一刻も早く現在の苦境を乗り越え、今後の活路を切り開くために、こうした政府方針の転換を促す要望活動に出席頂いた県土整備部の皆さんとも、意識を共有しながら取り組んでいかねばならない」との考えを示すとともに、「本日の意見交換には、入札契約制度をはじめ、各団体からの提案・要望等を提出しているので、各事項に対する踏み込んだ所見を頂きたい」と述べ、あいさつを結んだ。
これを受けて県土整備部の橋場部長=写真下=は、2010年度予算と県の入札契約制度におけるダンピング対策などに言及。まず、国の予算については「第3要求が先日まとまったが、既にその段階でかなりの公共事業費が大幅に削減されている。今後、年末に向けてさらなる削減の可能性もあるということで、非常に心配している」と弁。
また、維持管理費の地方負担がなくなる直轄事業については、「その分は当然、建設費から回すことになるため、建設費の削減率は大きくなることが予想される」との危機感をにじませる一方で、「千葉県内には(国による)圏央道、北千葉、外環などの非常に重要な道路をはじめ、利根川などの大河川がある」とし、「全体の事業費が削減されたとしても、千葉県の必要額については確保して頂けるよう、各方面に働きかけていきたい」との考えを示した。
さらに、県の10年度予算については、「これから財政方との本格的な交渉が始まるが、我々が必要とする十分な予算の確保に向けて、交渉を進めていきたい」とした。
一方、入札契約制度におけるダンピング対策については、「これまでも様々な対策を打ってきたが、常に現状に合った改善策が必要だと思う。そのためにも、皆さんからの色々な意見を出してもらう一方で、課題・問題点・改善点等を知って頂く。我々もそれらを参考にしながら、直すべきところは直していきたいと思う。今後とも忌憚のない意見を頂けるようにお願いしたい」と要請した。
他方、この日の意見交換会について氏は、「各団体それぞれに色々な課題があると思う。それらの現状と問題点等を教えて頂きたい」したうえで、「要望に対しては、直ちに解決出来る問題は少ないかもしれないが、皆さん方の今の実情をお知らせ頂くという非常に重要な会議だと認識している」と述べ、あいさつに代えた。
この日の意見交換会では、建産連側からの提案・要望事項として、@千葉県の入札契約施策・調達方式の統一的な運用(千葉県建設業協会)A県発注建設事業における「男女共同参画」の更なる推進(千葉県電業協会)B地元企業への優先発注の一層の推進(同)C建築設備工事における分離発注の徹底(千葉県空調衛生工事業協会)D緑地管理などの委託業務に関する落札価格の適正化(千葉県造園緑化工事業協会)E緑地管理業務における入札要件(同)F国民体育大会に係る施設(道路)整備状況と今後の見通し(千葉県道路舗装協会)G市町村の「制限付一般競争入札」運用に対する指導(千葉県地質調査業協会)H千葉県発注工事(協同組合千葉県鐵骨工業会)I耐震補強工事のグレード指定(同)Jエコセメント製品の使用拡大と定着(千葉県コンクリート製品協同組合)K県産品の優先使用(同)L2010年度予算(千葉県建設防水工事業協同組合)M防水専門工事業者の受注機会の拡大(同)――についての14項目を示した。
提供:日刊建設タイムズ