「建設産業は価値ある産業だ」「職人が減って工事ができなくなる」「建設産業が疲弊すれば、地域住民の生活は凋落(ちょうらく)する」−−。建設産業の使命と役割を広く訴えるため、静岡県建設産業団体連合会(伊藤孝会長)は5日、静岡市駿河区のグランシップで「建設産業は必要です!! 地域の生活と文化を守る静岡県建設産業の主張」を開いた。約400人が参加する中で、総合工事、専門工事、資材各代表が意見発表し、それぞれの立場から自らの産業の必要性を訴えた。また、建設産業の持つ技術・技能を「貴重な文化」とする観点から、産業を持続できるような施策を提言する決議を採択した。県中小企業団体中央会、東日本建設業保証静岡支店、建通新聞社が後援した。
伊藤会長はあいさつで、「建設産業はこれだけ社会貢献をしている、努力しているということを、世間の皆さんにお伝えしたい。われわれは雨が降ろうと槍が降ろうと現場に駆けつける」と訴えた。また「建設産業は、地域の基幹産業としての大きな役割を担っている。地域住民の安全で安心な暮らしや、地域の雇用を守るという重要な責務を担っている」と述べ、広く理解を求めた。
意見発表では、総合工事業者代表に県建設業協会理事の市川浩透氏、専門工事業者代表に県左官業組合青年部代表の中道芳宏氏、建設資材業者代表に県砕石業協同組合副理事長の井上光由氏が登場。
市川氏は、建設産業に対する偏見を形成する社会に異議を唱える一方、「もっと一般市民の方を向いて、真摯(しんし)な仕事をして理解してもらう必要がある」と主張。中道氏は、左官職人が急激に減少している状況を紹介し、「一番危惧(きぐ)しているのは、元請けが工事を受注しても、施工できる職人が減って仕事を納められなくなることだ」と語った。井上氏は「自負心だけでは経営は困難」と訴えるとともに、「再生材」が経営環境の悪化を後押ししてると指摘した。
3氏の発表の後、建産連の大塚忠副会長が、@中部圏広域地方計画・中部ブロックの社会資本の重点整備方針に基づく事業の実施A人材確保・育成施策の充実と実態に合った労務単価の設定B品確法の順守徹底C中小企業者の受注確保・拡大−−の4点を提言した決議を読み上げ、全会一致で採択した。
「主張」第1部では、建築写真家の増田彰久氏が「日本を支える建設産業〜日本の近代化遺産に学ぶ〜」と題して講演し、全国各地に残る明治以来の近代化遺産の数々を写真で紹介。増田氏は「これからどんなことをしたらいいのか。それは20世紀にやってこなかったことは何かを考えると、答がある」と述べ、自然を大切にしなかったこと、先輩たちの仕事を見なかったこと−−の2点を挙げて、建設産業の今後の方向を示唆した。
建通新聞社 静岡支社