建通新聞社四国
2009/11/06
【愛媛】景観計画案まとまる 松山市・市役所前通りと道後温泉本館周辺地区
松山市は、市役所前通りと道後温泉本館周辺地区の良好な景観形成を進めようと、景観法に基づく景観計画案をまとめた。それぞれ歴史を感じさせる町並みなどを整えるため、建築物や工作物の形態、意匠、色彩などについて基準を定め、届け出・勧告制度によって規制誘導する。内容は11月9日まで都市整備部都市開発課で縦覧しており、そこで寄せられた意見などを踏まえて最終的な計画を策定し、2010年度早期の施行を目指す方針だ。
市役所前通りは、国道11号と市役所前天山線からなる県庁前から千舟町通りまでの、延長約470bの直線区間で、市は道路境界から東西15bずつを含む、面積約2・4fを計画区域に設定している。
計画案では、この通りから松山城への眺望を活用した「松山らしさ」をかもし出すため、歴史的で自然的な空間と一体になった、落ち着きがある景観形成を図ると説明。そのために建築物や工作物に関して、高さへの配慮や壁面後退、威圧感軽減、自然と調和する落ち着いた色彩とデザインに努める、としている。
建築物については▽外壁などから道路境界面までの距離が0・5b以上▽町並みの連続性に配慮した周辺建築物と調和する配置やデザイン▽高さが50bを超えない▽威圧感を軽減させるために壁面に変化を持たせる─などの制限を設定。新緑のものより薄いベースカラーを念頭に、彩度と色彩に関する基準も設けている。
一方の道後温泉本館周辺地区は、計画区域が椿の湯や伊佐爾波神社なども含む約26f。すでにファサード整備や景観保全型広告物整備の取り組み対象になっている個所も含まれている。
計画案では、悠久の歴史と先取の気概が調和した品格のある町並みや、「おもてなしの心」を大切にした人々が交流する機会の創出といった方針を提示。建築物や工作物に関しては、まとまりのある落ち着いた色彩や形態をはじめ、自然素材など材質感があるものの積極的な採用、生垣やプランターなどによる緑化などを求めている。
特に建築物には▽低層部は壁面後退させてゆとりや開放感を持たせる▽規模が大きく圧迫感を与えるようなものは極力避ける▽規模が大きいものは威圧感を軽減させるために壁面に変化を持たせる▽道路が狭い場合はブロック塀などの設置を避け、緑化などによって歩行者空間に潤いを与える─などの制限を設定。市役所前通りと同様の彩度と色彩に関する基準も設けている。
計画案は、これら2つの計画対象区域では、床面積が10平方bを超える新築、増築、改築、移転、さらに外観を変更することになる床面積15平方b超の修繕や模様替えなどに対して、着工30日前までの届け出を義務付けることも提示。市は内容が景観計画の基準に沿っていなければ、指導や勧告によって改善を促す。