北海道建設新聞社
2009/11/02
【北海道】公共事業削減に戸惑いと不安−道建協、国交省らが懇談
北海道建設業協会(岩田圭剛会長)と全国建設業協会(全建、浅沼健一会長)、国土交通省は30日、札幌グランドホテルで地域懇談会を開催した。厳しい経営環境にある建設業界は、新政権が取り組む「公共事業削減」の改革に戸惑い、「コンクリートから人へ」の方針転換に大きな不安を募らせた。「地域崩壊」を憂う意見が相次ぐ中、岩田会長は「建設業の疲弊は景気、雇用に打撃を与える」と語り、浅沼会長は「全建は100年近い歴史がある。政権交代があろうと理念は変わらない」と業界発展に尽くす姿勢を示した。
同懇談会は、今月初めから全国9ブロックで順次開催し、北海道が最後となる。道建協からは岩田会長はじめ幹部、全建からは浅沼会長と押田彰専務理事、国交省本省から河村正人総合政策局官房審議官、横山晴生技術調査課長、北海道開発局は関克己局長らが出席した。
開催地を代表し、岩田会長は道内業界を取り巻く状況として「8年間で開発予算が半減以下となり、補正予算で小康状態になると信じた。しかし政権交代で補正は凍結、概算要求は13%近く減り危機的な状況にある」と戸惑いを見せた。
道建協は要望として@公共事業の急激な減少に対する建設業への地域経済振興策A北海道開発の意義・役割の尊重と北海道開発の枠組み堅持B地域経済の活性化に必要な社会資本整備と財源の確保(防災・減災に必要な基盤施設の重点整備など)C危機的な経営状況にある地方建設業の経営安定化(入札制度の改善)D景気回復に向けた補正予算の早期執行とゼロ国債を含む補正予算の早期編成―を提出した。
河村審議官は「政府は『コンクリートから人へ』の転換を図ろうとしているが、鳩山総理とも現下の課題は景気対策と一致している」と述べ、鳩山総理が言及した2次補正予算の動向を見守るとした。新たな動きとしては「環境政策があり、省エネ化は建設業にも光が当たる」と有望性を示した。
浅沼会長は全建の100年近い歴史を見渡し、「業界の健全な発展と公共の福祉にかなう理念は変わらない」とのスタンスを強調。新政権に対し「地域の優良経済団体として主体的に提言していく」と、社会資本整備のグランドビジョンと競争激化に伴うダンピング対策を明確に示すよう迫ったことを報告した。
意見交換では、国交省がB/C(費用対便益)の見直しについて「経済原則にとらわれず」と方向性を示唆し、設計変更についても「従来と違う方式を検討している」と表明した。設計労務単価の調査は「工夫する」と回答し、橋梁補修の積算乖離(かいり)は「理解している」との認識にとどめた。建協は産業政策として撤退(廃業)支援も検討するよう要請した。