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北海道建設新聞社
2009/10/27

【北海道】釧路市が動物園基本構想案まとめ市民意見募集へ

 釧路市は動物園基本構想案をまとめた。基本理念は「いのちとふれあい、いのちをつむぐ、何度でも来たくなる動物園」。生命の尊さ、環境保全の大切さを伝えることを念頭に、ゾーンの再整備や快適な園内環境整備、ソフトの充実に取り組む。あす28日から11月26日までパブリックコメントを実施する。構想を具体化していくための基本計画は、早ければ2010年度にも策定する方針だ。
 1975年開設の同園では、施設の多くが老朽化に悩まされている。サル山の擬岩に穴が空き、内部の骨組みがむき出しになるなど、応急処置にも限界が近づいている。一方で、施設の改修や改築には多額の予算と長期間を要する上、現在ではゾウなど補充が困難な種類が出ている。
 そこで市は、動物園の在るべき姿を明確にし、理念や方針に基づいた計画的な施設整備を進めていくため、基本構想を策定することにした。
 基本目標は「いのちをつたえ、感動と発見があり、誰もが楽しめる動物園」。動物にとってストレスが少なく繁殖しやすい環境をつくること、今まで気付かなかった本来の能力が見られるような展示・解説をすること、広大な敷地や自然環境を生かして来園者がゆったりと快適に過ごせる空間にすることなどをうたっている。
 この目標を達成するため、@ゾーン再整備Aソフト充実B園内環境整備C健全運営D市民参加型動物園づくり―の5項目を基本方針に据えた。
 ゾーンは北海道、寒帯、熱帯、ふれあいの4つに区分。北海道ゾーンはシマフクロウ、ヒグマ、エゾリスなど地元の動物たちを集めた同園の象徴的なゾーンとする。
 人気のアムールトラ、ホッキョクグマなどを集めた寒帯ゾーンでは、冷涼な気候を生かして繁殖にも力を入れる。
 熱帯ゾーンには、草食のシマウマや肉食のライオンなどを集め、生き物の関係を考えたり、チンパンジーの行動から人間について考える場を提供。
 ふれあいゾーンは、子どもや保護者らが小動物に触れ、生き物のぬくもりを感じられるよう、安全性と衛生面に配慮した整備をする。
 園内環境整備では、広い園内で快適に過ごせるよう、休憩・利便施設や案内板を適所に配置。園路舗装やバリアフリー化に努める。法改正で維持費が増大したSLコースターは存続が厳しい状況にあるものの、釧根地方では貴重な遊園地機能は残し、動物園らしい体験型学習遊具の導入などを検討していく方針だ。
 構想期間は09年度から20年。目標入園者数は18万人に設定した。これらを具体化していく個別事業については、今後策定する基本計画に盛り込む。まずは前期10年分をまとめ、5年程度でローリングしながら着実な事業推進を図る。実施可能な施策は策定前から先行着手する可能性もある。