建通新聞社が県内37市町と静岡県を対象に実施した「入札・契約制度調査」によると、2008年度の平均落札率が2政令市など12市町で90%に届かなかったことが分かった。この12市町のうち、8市町が予定価格の事前公表に踏み切っている。都道府県レベルでは、予定価格などの公表を事前から事後に見直す動きが広がっている。しかし、県内自治体では事後公表との併用も含めて、14市町が予定価格を事前公表。依然としてダンピング対策がすべての自治体には浸透していない格好だ。本紙では3回にわたって、県内自治体の入札・契約制度の運用状況や課題などを連載する。【各自治体の調査項目結果は2面に掲載】
調査は、10月上旬にアンケート形式で実施。すべての県内自治体から回答が得られた。低入札調査基準価格、最低制限価格、予定価格、08年度平均落札率、総合評価方式に関して計10問を投げ掛けた。
予定価格の公表では、非公表の3市町を除く34市町と県が公表。うち14市町が予定価格の事前公表(事後公表との併用も含む)に踏み切っている。
予定価格の事前公表自治体のうち、焼津市が97・5%と最も平均落札率が高く、富士市、熱海市、掛川市、沼津市、長泉町までが90%を上回った。静岡市や御殿場市、湖西市など予定価格を事前公表している8市町が「平均落札率90%未満」という結果になった。
予定価格を事後公表している19市町では、菊川市と袋井市の97・1%を筆頭に、多くの自治体で92〜94%台の落札率。ただ、4市町が平均落札率90%を下回った。
08年度の平均落札率が90%未満だったのは12市町。ただ、90%を大きく割り込む市町は少なく、87%以上〜90%未満に8市町が集中した。
《「低入調査基準価格=高価格帯での設定と事後公表目立つ」》
低入札調査基準価格制度の実施状況は、22市町と県が導入。磐田市のみ調査基準価格を事前公表しており、21市町と県が事後公表、吉田町のみ非公表としている。
低入札価格の設定条件は、多くの自治体が「予定価格1000万円以上」から「同5000万円以上」という工事案件で設定。一方で、伊東市や御前崎市など4市町が「130万円以上」と、ほぼ発注案件すべてに該当する範囲で、低入札調査基準価格制度を運用している。
最低制限価格の運用状況では、21市町と県が導入。このうち、設定条件が「すべての建設工事」としている自治体は7市町で、他にも「金額の制限なし」(熱海市)、「条件未設定」(袋井市)などと弾力的に運用している自治体がある。
《「総合評価=依然多くの自治体が試行段階」》
総合評価方式については、芝川町と新居町を除く35市町と県が導入済み。ただ、09年度の実施計画を見ると、多くの自治体が「1〜2件程度」という状況で、依然として試行の域を出ない。
すでに本格実施している静岡県(250件予定)以外では、静岡市(発注件数の2割程度)、浜松市(100件)が突出。沼津市と富士市の6件、袋井市と磐田市の5件、藤枝市の4件が目立つ形となった。
建通新聞社 静岡支社