北海道建設新聞社
2009/09/25
【北海道】「景気対策は切れ目なく」−鉢呂民主党北海道代表に聞く
公共事業の見直しを危惧(きぐ)する声も大きい。鉢呂吉雄民主党北海道代表に、補正予算、概算要求の扱いや、今後の道内の公共事業の進め方などについて聞いた。
―補正予算の執行停止の今後の見通しは。
一番大きいのは、景気対策にマイナスを生じさせてはいけないということ。無論、ムダな物については停止するのは十分考えられる。補正予算は、景気対策として民主党も認めなくてはいけないし、停止によって景気が悪化するということは十分考えられる。切れ目のない対策が必要だ。
―中央省庁の庁舎建て替えも対象になっているが。
地方分権が進展し、地方に仕事が移譲されていく段階で必要なのかどうか、十分、検討し、場合によっては停止していく。その場合、景気対策として、それに代わる、一般的な必要な公共事業を実施する。従来のインフラ整備的な公共事業の雇用、経済への波及効果が低いというのであれば、もっと波及効果の高い事業に振り向けていくというのも当然ある。ことし予定している事業の入札執行停止は、景気対策全体の中で考えていく必要がある。
―2010年度概算要求の組み直しの考え方は。
年内編成は絶対条件。年を越し、年度末を超えるということがあってはならない。従来の概算要求、シーリングは撤廃するが、重点的な施策は国家戦略室または閣僚委員会で出して、財源を捻出(ねんしゅつ)し、やっていくということだと思う。
―今後の高速道路の整備はどうなるのか。
必要な道路については、費用対効果を考えてということだから、必要≠フ中身をもう一度、全部見直すというのは十分ある。余市―黒松内間は、B/C(費用対便益)が2・1ある。これは非常に高い。供用すれば、ほとんどの人が函館方面から札幌まで、この路線を使うだろう。また、費用対効果も高い。そういう路線は進めていくことになる。
―北海道新幹線の整備に関する考え方は。
事業評価をやると言っているので、それがどういうものであるのか、どのくらいの評価にかかるのかそれを見ていかなくてはならない。国交大臣がこれからどう考えていくかだと思うが、われわれは、必要な公共投資はやっていくべきだと考えている。北海道新幹線は必要性が非常に高い。財源の手当てと並行在来線をどうすべきかということを、検討して速やかにやるべき。
―新政権になると公共事業が減少し、経営が立ち行かなくなると危惧(きぐ)する建設業経営者が非常に多い。今後の建設業の育成をどう考えるか。
公共事業予算は、ピーク時から半減しているが、今後、倍の公共事業を求めても難しい。建設業は公共事業を通じ、今日まで蓄積があり、これまで蓄積したものを、先行投資して、どれだけ新たな事業に踏み込めるかということだと思う。公共から民間へのシフトや、新しい産業へのしっかりとした取り組みなどに、踏み込めるかどうか。例えば、農業は、担い手減少が問題になっているが、さらに10年経てばぐっと減る。そこで組織的にやるのは建設業だと思う。
―北海道開発局の存廃について、どう考えるか。
問題は2つある。1つ目は、地方分権が進み、今まで中央省庁が担っていた行政サービスをどこで担うのかという点。2つ目は、天下り。早期退職が背景になっているのは事実。そこに過剰にう回した補助金が流れていることに、国民から批判を受けている。根幹にある早期退職制度をどういうものにしていくかという点。60歳まで勤務できるという制度と、60歳まで勤務できても、給与を大幅に下げて働き続けられるという形を作っていく。その2つをきちんとしないと、北海道開発局を実験的、先行的にやっていくというのはあり得ない。全国の出先機関がどうあるべきかという議論と一緒になり、最終的には地域主権・地方分権の形が出来上がる時点で移行していくということだと思う。
―地方分権・地域主権の進め方については。
これまでの政策の中で、規制緩和をすると格差が付きやすいという結果が出た。地域主権で本当にいいのかと国民が考えるべき。地方分権・地域主権というのは、税収も地域主権でなくてはおかしい。東京や全国から北海道に金を持ってくるというのはできなくなる。完全な地域主権への移行は、20年くらい必要ではないか。当面は、税の再配分機能で、東京の税金を北海道に持ってきて、その後は、企業立地、食料生産が進み、税収も自立的に生まれ、そういう中で、地方分権は成立する。交通体系も北海道が自分で考え選択していくという形にするべきだ。地方分権・地域主権というのは、地域で責任を持つということであり、非常に厳しい。そこを国民は耐えれるかということだと思う。
―「北海道・国家戦略会議」の設置の目的、スケジュールは。
設置は来月になるのではないか。われわれが族議員化していくわけにもいかないので、従来の「なんでも引き受けます」という類のものではない。政策論議をしっかりとやり、北海道の考え方を発信していきたい。