県内の新型インフルエンザ患者が300人を超え、建設現場での感染拡大も懸念される。そこで、静岡県建設部工事検査室は拡大防止を図るため、出先事務所に対して、所管工事の現場作業員が感染した場合に報告を求めることにした。新型インフルエンザが、「伝染性の疾病に含まれる」との見解が示されていることから、感染者は労働安全衛生法第68条(病者の就業禁止)で、就業禁止が義務付けられている。
感染報告の対象者は、工事現場内に出入りする、すべての作業員。報告内容は、感染者の所属(会社名)、氏名、年齢、性別、感染状況、作業員に対する措置、特記事項などで、所定の様式に記載する。
作業員のうち1人でも感染が確認された場合、請負者は所管の土木事務所や農林事務所など出先事務所に報告する。この報告を工事検査室が吸い上げ、請負者や監督員らとの間で現場の対策を協議するもよう。
10日時点で、現場での具体的な感染事例は報告されていない。ただ、流行拡大による感染者の続出も考えられるため、工事検査室では速やかな報告を求める。
また、工事検査室は作業員や監督員の感染予防についても、注意を促している。現場事務所での手洗い・うがいの励行、マスク着用などの予防措置を、出先事務所を通じて各工事現場に強く求める。
県では労災防止の観点から、新型インフルエンザの感染拡大の防止措置を、共通仕様書に定める「臨機の措置」の一つと位置付けている。そのため、請負者は現場で感染者が出た場合、監督員に状況報告した上で、就業制限を含めたまん延防止対策を講じる義務が生じる。
建通新聞社 静岡支社