建通新聞社四国
2009/09/06
【徳島】未契約繰越・年度末発注分に懸念 政権交代後の県内直轄事業
8月30日に行われた衆院選の結果、民主党への政権交代が確実になったことを受けて、本紙では県内で進められている直轄事業への影響を調査。民主党が2009年度補正予算について、秋の臨時国会での組み替えを見送る方針を固めた現状で、事業進捗への影響を展望した。
民主党は当初、政府・与党が国際的な金融危機に対する景気対策として成立させた1次補正予算について、特別国会後に開かれる臨時国会で組み替えを行う方針を示していたが、作業が間に合わないことから組み替えは年明けの通常国会に先送りし、未執行分の基金の執行停止にとどめる見通し。この状況下での管内事業への影響について、本紙が取材した国交省徳島河川国道事務所、小松島港湾空港整備事務所は「現在、情報を収集中でコメントは差し控えたい」と回答するにとどめたものの、09年度中に発注・契約を進める直轄事業への影響は最小限にとどまることになりそうだ。ただ、09年度中に契約できない未契繰越分などは、裏付けとなる予算が見直される可能性もあり、影響が懸念される。
県内では、特に10年度の供用開始を目指して徳島飛行場滑走路延長事業の整備が最終段階に入っている。09年度は、これまで順調に工事発注が進んでおり、施工も円滑に進捗。当初の計画通り、国交省が担当する主要施設の年度内完成に影響はなさそうだ。
一方、空港と同じく小松島港湾空港整備事務所が進めている撫養港海岸大規模地震津波対策は、残工事の発注への影響が懸念される。桑島・瀬戸地区で老朽化や劣化が進む堤防の改良を行う同事業は、海上からの施工が中心。しかし、現場周辺では、冬季を中心とした10月から3月に掛けて、ワカメの育成・収穫が行われ、海上に影響のある工事を差し控えることになっているため、必然的に発注は年度当初と年度末に限られる。現時点で未発注の工事は、撫養港海岸桑島瀬戸地区堤防改良工事その6(上部工、陸閘改良)、同その8(基礎工)、同(その9) 海上地盤改良工─など。これらの工事の発注への懸念は、他の事業よりも大きいといえる。
同様に海上への影響がある徳島小松島港赤石地区港湾整備事業では、マイナス13b岸壁の整備に向けて、地元との協議が進められている。同事務所は、地元の理解が得られ次第、早急に発注できるよう準備を進めているが、協議の進捗次第では影響がでてくる可能性もありそうだ。
徳島河川国道事務所で進められている事業は、ほぼ09年度中の契約に向けて準備が進められており、1次補正分等への大きな影響はないもよう。年度内完了を目指す川島排水機場改築(吉野川市川島町)や今切川百石須個所の環境整備事業なども年度内完了が図られることになりそうだ。ただ一方で、同事務所管内には、四国横断自動車道の新直轄区間や南環状道路、河川整備計画が策定されたばかりの河川事業など、今後、長期間にわたる整備を要する事業が多く、将来的な影響は大きい。差し戻される概算要求を含めて、10年度以降の事業進捗には懸念もありそうだ。