富津市はこのほど、「消防本部庁舎整備」に伴う基本計画策定業務を榎本建築設計事務所(千葉市中央区長洲2−8−5)に委託した。委託金額は75万円。基本計画は12月中旬までに素案を作成し、その後、パブリックコメントを実施し、市民の意見を反映させて年度内にまとめる。
消防本部庁舎は、既存庁舎が借地であることなどから移転新築する。移転場所は、福祉・教育施設と同様に郵便局裏手北側を予定地としている。敷地面積は約1万uを見込んでいる。
基本計画では、庁舎の構造・規模、概算事業費、費用対効果などを総合的にまとめる。また、事業手法ではPFI方式の導入も検討する。ただ、庁内議論では施設の性格上、PFIはなじまないとの意見があり、確認の意味を含めた調査になる見通し。
同本部が昨年度でまとめた基本構想では、消防本部の規模は事務所棟約2000u、車庫棟・訓練棟約1000uを想定している。また、本部庁舎の整備とともに、南部地域の拠点となる天羽出張所の大規模改修も検討していく。
基本構想では、庁舎の機能として@市民を守る拠点A防災教育拠点B市民が親しみやすく機能性に配慮、の3つを挙げた。市民を守る拠点では、建物自体の耐震性に加えて、自家用発電機、耐震性貯水槽などライフラインの確保、監視カメラなどを設置するなどセキュリティ機能、ドクターヘリ発着施設の確保などの機能を導入。防災教育拠点では、水難救助技術の教育訓練ができる訓練塔、水難救助・消化訓練兼用水槽などを備えた庁舎を目指す。また、誰もが使いやすい庁舎とするため、ユニバーサルデザインを採用する。
既存の消防本部・消防署庁舎は、所在地が小久保2109番地。施設は1974年7月に消防防災の拠点として竣工。規模はRC造3階建て(一部平屋建て)延べ1317.34u。その後、95年度に通信指令室(172.75u)を増築した。統合を予定している富津出張所は、所在地が西川1567番地先。81年度の建設で、規模はRC造平屋建て延べ322.02u。
消防庁舎の整備については、施設の老朽化による耐震性の問題や維持管理経費の増大、バリアフリーへの対応、訓練場の確保、消防救急無線の共同化・消防広域化及び消防指令業務の共同運用の流れなどの状況から検討を行うことになった。その結果、今後の消防行政を見据えた中で要求される庁舎機能や訓練施設を大規模改修で対応するには限界があり、既存の庁舎敷地が借地であることなどを考慮するとともに、費用対効果の観点からも効率的な移転新築を選択した。
日刊建設タイムズ