京都府は13日、上京区の平安会館で平成21年度京都府住宅耐震化促進連絡会議・第2回(京都府、市町村、業界団体で構成)を開催し、府の木造住宅耐震改修事業費補助金交付対象の拡大や中古住宅流通過程での制度活用など耐震化促進策を協議。このうち、耐震改修後の評点が0・7以上1・0未満となる全てを補助対象に拡大する交付要綱改正については、速やかに実施すると共に、対象市町での早急な適用を要請した。また中古住宅の流通過程を対象とした制度活用については、慎重な対応が必要とする意見が出され、継続協議していくことになった。
会議の冒頭、主催者を代表して建設交通部の小嶋祥洋技監があいさつに立ち、耐震改修促進へ向けての取組状況やこれまでの経過を報告した後、「行政側で出来ることと、第一線で直接工事、設計、流通に携わる皆さまが、直接所有者・利用者に接して感じられていることを、しっかりと我々も受け止め、お互いに情報を共有することで住宅ストックの質の改善につなげたい」として、協力を要請した。
今回の議題として挙げられたのは、第1回会議で業界側から出された要望の対応など報告事項、府の要綱改正への対応、中古住宅流通過程における制度活用など。
まず報告では、耐震改修後の評点について、0・7の改修を原則認めることにし近く要綱を改正する。改修助成制度を導入していない8町村について、早期の導入を要請。PR活動については、金融機関での取扱(府内約150店舗)やコンビニでのパンフレット設置などを実施。耐震診断実施者へのアンケート調査−がそれぞれ説明された。
要綱改正への対応と中古住宅流通過程での制度活用では、制度を導入している18市町のうち、府の要綱改正に合わせて0・7以上の改修を認める(予定)自治体は京田辺市と与謝野町の2市町のみとなっているほか、中古住宅流通過程での受付を可能としているのは舞鶴市、綾部市、宮津市、亀岡市、向日市、京田辺市、与謝野町の7市町であると市町の対応状況などが示された。
特に中古住宅流通過程での活用についてでは、「空家状態でのリフォームに合わせた耐震改修の場合、工事中の安全面、施工のやり易さなどから耐震化促進に大きく寄与すると期待している」(京都府)として、積極的に取り組んでいく方針が告げられた。
これについての意見交換では、「補助金の行方が検証できないのではないか」「不動産業者よりも直接住民を優先すべき」などといった意見が市町側から出されれた一方、業界側からは「売買後に購入者に還付方式で助成してはどうか」といった意見が述べられた。また耐震改修促進策として、「耐震改修のメリットとして固定資産税の軽減など税制面での控除はできないか」「リフォームなど他の補助金と併せた仕組みをつくれないか」などの意見も出され、これらの意見を今後とも継続して検討していくことになった。
このほか、府から業界に向けてパンフレット配布などPR、診断結果をユーザーに報告する場合に改修方法や改修金額の提示など一歩踏み込んだ対応、改修工事現場の見学会開催、マンションオーナーへの啓蒙などの協力を要請した。
府の住宅耐震化促進連絡会議は、京都府と耐震化改修制度の受付窓口となる府下市町村、関係業界団体で構成された組織。16年度から制度化された住宅耐震診断は、これまで1300件以上で行なわれているのに比べ、耐震改修工事は19〜20年度の2ヵ年で40件と低調に終わっていることなどから、耐震化促進を目的に今年5月発足したもので、今回で2回目の開催となる。
なお業界団体からの参加としては、建設業から(社)京都府建設業協会、(社)全国中小建設業協会全中建京都、(社)日本木造住宅産業協会近畿支部、(社)全国中小建築工事業団体連合会(京都府建築工業協同組合)、建築士として(社)京都府建築士事務所協会、(社)京都府建築士会、(社)日本建築家協会近畿支部京都会、不動産業(マンション管理)から(社)京都府宅地建物取引業協会、(社)全日本不動産協会京都府本部、(社)全国賃貸住宅経営協会京都中央支部、(財)日本賃貸住宅管理協会京都府支部が出席した。