民間都市開発推進機構が「経済危機対策」の一環で、民間の都市開発事業に行う資金支援に対する相談件数が、6月末時点でプロジェクトが具体化したものだけで86件、総事業費は約4兆円に上ることが分かった。今回の「経済危機対策」による支援規模は、補正予算額2000億円に、同機構が民間金融機関から借り入れる約2000億円を合わせた約4000億円。事業費ベースでは、すでに支援枠の10倍に達する相談が寄せられていることになり、同機構に融資機能を求める期待の表れとする一方、民間金融機関の資金支援が十分でないとも言えそうだ。 同機構は、寄せられた相談の事業内容を見極めて融資を適用するか判断する。
具体的には、事業の公共性のほか、事業主体の倒産や資金繰り難などを理由に、計画変更や一時中止に追い込まれている事業や、市街地再開発事業など、関係者に与える影響度合も考慮して適用事業を決める方針だ。
実際の適用時期は7月以降になる見通し。
相談件数をエリア別に見ると、東京、名古屋、大阪の三大都市圏が全体の6割弱を占める。そのうち大半は都内の案件という。
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同機構のこれまでの融資実績を見ると、従来は事業者、事業規模ともに中小規模のものが多かったが、近年は、大手デベロッパーによる大規模プロジェクトが増えている。
2008年度実績では、住友不動産による「渋谷東一丁目計画」で総事業費約465億円に対し100億円超の支援を実施した。また、日本土地建物と大和ハウス工業が50%ずつ出資した「有明南プロジェクト」、東武タワースカイツリー会社と東武鉄道による「(仮称)業平橋押上地区開発計画」など都心を代表するプロジェクトに対する支援も行った。
民間金融機関による融資が細る一方で、同機構の存在感が増している。
提供:建通新聞社 首都圏本部東京支社