JR東海は18日、中央新幹線のルート別の調査結果を発表し、超電導リニア線(リニア)で最短距離の南アルプスルートを通った場合、東京〜名古屋間を40分で結ぶことを明らかにした。調査を行った3ルートのうち、長野県側を回る二つのルートは、いずれも軌道の敷設費用だけで直線ルートより数千億円のコストがかさむと試算。時間、コストの両面から見て、直線ルートで結ぶ利点をあらためてデータで示した。同日開かれた自由民主党の「磁気浮上式鉄道に関する特命委員会」の会合後、記者会見に臨んだ委員長の堀内光雄衆議院議員は「ルート選定で特命委員会が動くということはない。これからはJR東海と地元の話だ」と語り、交渉の行方を見守る考え。JR東海は今夏にルート別のメンテナンス費用や輸送需要量などを示す予定だ。
JR東海は、東京〜名古屋間のリニア線建設について、東京〜甲府〜名古屋を直線で結ぶ「南アルプスルート」、山梨県の甲府から長野県の諏訪・木曽福島を通る「木曽谷ルート」、甲府市から長野県の伊那、飯田を通る「伊那谷ルート」の3案を検討。国の指示を受けて各ルートの▽路線延長▽所用時間▽工事費−をそれぞれ調査した。
最短の「南アルプスルート」を通る場合の延長は286`で、東京〜名古屋間をわずか40分で結ぶと試算した。工事費は従来と同じ5兆1000億円を見込む。
一方、長野県側を回る二つのルートを見ると、「木曽谷ルート」が延長334`、所要時間46分、建設費5兆6300億円、「伊那谷ルート」が延長346キロ、所要時間47分、建設費5兆7400億円となっており、延長が伸びる分だけ所要時間とコストが増加するとしている。
今回の比較は、あくまで東京〜名古屋間をノンストップで結んだ場合の数値。JR東海は、先に1県1駅の方針を明らかにしているが、1駅停車するごとに所用時間は6分ずつ増えるという。また、東京の始発駅については東京駅か品川駅とするかは未定としながらも、調査は品川駅を起点とする想定で進めた。
JR東海は、今夏中に維持運営費、設備更新費、輸送需要量について、各ルートごとの調査結果をまとめる予定。同社はこれまでも「直線ルートが合理的」との見解を示しているが、さらにメンテナンス費用、輸送需要を明らかにすることで、地元関係者に直線ルートへの理解を求めていく考えだ。
提供:建通新聞社 首都圏本部東京支社