静岡県は、所有建築物3018棟の耐震性能をランク付けした結果、440棟が耐震性に問題を抱え、特に231棟は「倒壊する危険性があり、大きな被害が想定される」ことが分かった。遅くとも3年後の2011年末までに、すべての耐震化未着手施設で補強や建て替えを完了し、耐震性能を向上させる方針でいる。一方、耐震性能が優れている建築物は2578棟を占め、耐震化率は85・4%に到達した。県危機管理局の集計で明らかになった。
県有公共建築物の対象総棟数は、災害時の拠点となる学校や病院、庁舎、県営住宅などを含めた3018棟(09年3月31日現在)。1棟ごとに東海地震に対する耐震性能を調査した。
建物の耐震性能を示した各ランクの指標は、1981年5月以前の旧耐震基準で建築された施設と、同年6月以降の新耐震基準で建築された施設に分け、県が独自の判定基準を設定。ランクは、Ta(耐震性能が優れている建物)、Tb(耐震性能が良い建物)、U(耐震性能がやや劣る建物)、V(耐震性能が劣る建物)の4段階に分類している。このうち「建築基準法上で耐震性を有する」とされる建築物は、ランクTとUに位置付けられる。
今回のランク付けの結果、全対象施設3018棟のうち、T(a、b)ランクが2578棟、Uランクが208棟、Vランクが231棟、非診断が1棟となった(=公表建築物の分類別ランクは別表参照)。
耐震化の実施手法としては、未着手施設(440棟)のうち、81・4%に当たる358棟で耐震補強を行う。建て替え予定の物件は17棟のみ。耐震補強か建て替えかを検討している施設は21棟で、用途廃止などで解体する施設は44棟となる。
今後、耐震補強を進めていく上で、ランクU、Vの建築物をランクTの耐震性能まで引き上げる。原則的にランクVから耐震化整備に着手し、同ランクの場合は耐震性能の低いものから優先して整備する。
また、災害時の拠点となる建築物や県営住宅、不特定多数が利用する建築物をT類に、県職員など特定の者が利用する建築物をU類にそれぞれ分類。T類は09年度末をめどに、U類については11年度末をめどに耐震化を進める。
《「耐震化率は85・4%、堅調な伸び示す」》
08年度に実施した耐震補強・改修などにより、県有建築物全体の耐震化率は85・4%に到達した。1年前の数字(83・1%)と比べて、2・3ポイント改善。学校校舎を中心に、耐震補強が着実に進んでいることが結果として表れた。
※耐震性リストに基づくランクU・Vの建築物一覧は、月刊建設データ7月号に掲載。
建通新聞社 静岡支社