静岡県は、一般・特別会計を合わせた総額723億2300万円の6月補正予算案を編成した。景気悪化の影響を受けた中小企業者の資金需要に対応するため、経済変動対策貸付の融資枠を拡大(300億円)するほか、国庫補助関連公共事業費(163億2200万円)、社会福祉施設の耐震化事業費助成(4億6500万円)、御殿場特別支援学校の校舎増築前倒し(1億1590万円)、県営団地の総合再生整備事業(6200万円)などを盛り込んだ。予算案は、15日開会の県議会6月定例会に提案する。
今回の補正予算編成に当たっては、国の補正予算に呼応する形で「本県の経済危機対策」を着実に実施できる施策を優先的に盛り込んだ。一般会計722億6100万円、特別会計6200万円という予算額は、6月補正としては過去最大級の規模となる。複数年度で活用可能な8基金の積立金(440億円)を投入するため、実質的な歳出規模は一般会計で282億2100万円となる。
主な事業を見ると、売り上げ減少により業績が悪化した中小企業を支援する「経済変動対策貸付」について、補正予算案に300億円を追加計上した。当初融資枠800億円と合わせて年間融資枠は1100億円。建設業をはじめ受注難に苦しむ中小企業の経営改善をバックアップする。
国補関連の公共事業費には163億2200万円を計上。内訳は、県営林道整備など産業競争力強化の関連事業に4億7000万円、道路や港湾などの基盤整備関連に88億6700万円、治水対策や土砂災害防止対策など防災関連に69億8500万円を計上した(=各事業の詳細は別表参照)。
社会福祉施設の入所者の安心・安全を確保するため、施設の耐震化やスプリンクラー整備を行う社会福祉法人に対して助成する。耐震化整備事業に3億8900万円、スプリンクラー設置事業に7600万円、計4億6500万円を計上。補助率は、施設の所在地が政令市以外では4分の3、政令市内は2分の1となる。
特別支援学校の教室不足を解消するため、御殿場特別支援学校の小・中学部校舎増築を1年前倒しして発注する。6月補正に1億1590万円を計上し、10年3月の完成を目指す。校舎の規模は、鉄骨造2階建て延べ577平方bで、校地の空き地を活用する。
県営住宅団地の総合再生整備事業には6200万円を追加計上。修繕周期が到来した給水管の改修工事を前倒しして実施するもので、自由ケ丘団地(富士市)など2団地で設計・工事を発注する。
このほか、荒茶加工機械の老朽化対策など共同利用施設の整備を行う事業者に補助する市町に対して、県が助成する「強い農業づくり整備事業費助成」として19億3000万円を盛り込んだ。茶生産基盤リニューアル対策事業として、新間地区(静岡市葵区)など42地区で整備を予定している。
さらに、私立幼稚園や認定こども園の緊急環境整備助成として1億円を計上。遊具整備やデジタルテレビアンテナなどの整備費助成に充てられる。
建通新聞社 静岡支社