静岡県は、受注者からの協議・質問に監督員が原則1日以内で回答する「ワンデーレスポンス・プロジェクト」について、2009年度は建設部の全出先事務所の課ごとに1件以上の対象工事を発注する予定。主に土木・農林工事が対象となり、単純計算で73件以上を見込む。08年度は56件の試行工事を発注しており、現在、実際にやり取りされた回答事例や、受注者から出た要望などを集計・分析している。多くの受注企業から「早期に質問に対する回答が得られ、工期遅れのリスクが回避できる」と好評を得ているが、08年度試行工事の分析結果を踏まえ、ワンデーレスポンスを活用した受発注者協議の在り方を検証する。
ワンデーレスポンスは、受注者から出た質問や承認・確認などの要請に対して、その日のうちに発注者(監督員)が何らかの回答を示すもの。設計変更を伴う問題など、どうしても即答できない場合には、返答・回答する時期をその日のうちに示し、発注者と受注者の意思疎通を図る。
試行初年度の07年度に9件、08年度には56件のモデル工事を実施。その結果、受注者側からは「発注者とコミュニケーションがとれるようになった」「人材育成につながる」と、おむね好評価を得た。08年度のワンデーレスポンス対象工事の工事成績の平均は81・3点。サンプル数が少ないとはいえ、土木・農林の全工事の工事成績の平均点を約2ポイント上回っている。
一方、発注者側も「現場の状況に関するさまざまな質問が出たが、ほぼ100%その日のうちに回答できた」と一定の成果を認めているほか、「1人で抱え込まないで先輩や上司に聞くようになった」という効果もあった。従来のような個人対応ではなく、上司など部署内の複数で対応策を練り回答を示すことから、監督員の技術力、判断力向上にも役立っているという。
09年度は土木事務所や農林事務所など、建設部の全出先事務所で少なくとも各課1件は対象工事を発注する計画。発注の際は、08年度に引き続き特記仕様書にワンデーレスポンス対象工事であることが記載される。県では、将来的には受注者の要望などを集約した上で「現場を待たせない」「速やかに回答する」という対応をシステム化し、工事目的物のより一層の早期完成・提供の実現を目指す。
建通新聞社 静岡支社