社会資本整備の必要性と担い手である地域建設業者の役割を広く訴えていこうと、静岡、愛知、岐阜、三重、長野の中部5県の建設業協会が集結し、23日に岐阜市のじゅうろくプラザで「社会資本整備促進総決起大会」を開く。国土と地域の安全を守るためには基盤整備と適切な維持管理のコストが欠かせないことや、中小建設業者が地域の防災を支えていることをアピールする決議文を採択する。大会には金子一義国土交通大臣を招き、決議文を手渡す予定だ。
今回の決起大会開催は、景気対策・雇用確保の観点から経済対策が打ち出されているこの時期をとらえ、地域経済と社会資本整備の最先端の担い手である地域建設業者の役割を訴えるとともに、建設産業関係者の団結、士気向上を図る狙いがある。
大会は総決起大会と講話の2部構成で行い、各協会から約300人が参加する。総決起大会には、金子大臣らが来賓として出席し、岐阜県と長野県の両建設業協会が意見発表を行う。決議文は、静岡県建設業協会の伊藤孝会長が朗読し採択した後、三重県建設業協会の田村憲司大会委員長から金子大臣へ手渡す。第1部では、国土交通省の谷口博昭技監が最近の社会資本整備をめぐる動きについて講演する予定。
建設業界に対する風当たりが厳しい中、各建設業協会では建設業の必要性を情報発信し、いかに行動していくかという共通の課題がある。業界バッシングに耐えているだけではなく、社会資本整備の担い手としての役割を正しく理解してもらうため、広く一般に向けてさまざまな方法で訴えていく考えだ。
今回の総決起大会もその一つで、社会資本整備の担い手である建設産業界を代表し、その必要性を訴えるために大会を計画した。
=解説=社会全体で危機意識を
国や自治体の財政建て直しが進められる中で、公共投資は減少を続け、地方の中小建設業の経営環境も厳しさを増している。とりわけ入札制度改革の迷走は、極端な低価格での受注競争を招き、倒産・廃業する企業も増え地方の建設業を疲弊させている。
地域の建設業は、社会資本整備を現場レベルで支えているだけでなく、地域の貴重な雇用の場であり、地域経済と防災の担い手でもある。しかし、地域の建設業の倒産・廃業により、兼業の機会を失った中山間地では人口の流出、過疎化が進行し、地方の荒廃を招きつつあるという。また、都市部でも、防災の担い手である建設業の疲弊に、災害時の対応・体制を懸念する声が出ている。こうした危機的な業況について、社会全体が共通認識を持つ必要がある。
建通新聞社 静岡支社