静岡県建設業協会(伊藤孝会長)と静岡県建設部は12日、静岡市の県建設業会館で、静岡県建設部と、@入札契約制度の改善A景気対策の速やかな実施B静岡県建設業審議会の開催C発注者・受注者の情報共有化−などについて意見交換した。この中で国土交通省の低入札価格調査基準価格見直しを踏まえ、県建協側が再度の改定を求めたが、県側は「状況は改善されてきている。今回改定したばかりであり、状況を見ながら検討していきたい」の回答にとどめた。
衛門久明建設部長は「(業界との)風通しをさらに良くしていかなければならないと痛感した」と、一層の情報交換の必要性を指摘した。
意見交換会では、伊藤会長が口火を切り、低入札価格調査基準価格の再度の改定を強く求めた。他県や県内実施市を例示した上で、「慎重に検討するのもいいが、地域建設業が倒れてからでは遅い。新しい公契連モデルに沿って見直しをしてほしい」と訴えた。
これに対して県側は、この4月1日付で改定したばかりであることから「直ぐに見直しはいかかがなものか。ただ、他県から問い合わせも来ている。状況を見ながら検討していきたい」と答えた。
続いて木内藤男副会長が、地元中小零細業者が実感できる景気対策の速やかな実行を求めた。県側は「前倒し発注の目標数値の設定を含め検討している」ことを明らかにした。伊藤会長は「われわれは自覚と責任を持って対応する。具体的な行動をお願いしたい」と重ねた。
小野徹副会長は、業界代表が参加し発言できる機会として「静岡県建設業審議会」の再開を要望。県側は今現在が「2003年の)審議会提言の取り組み過程にある」とするとともに、「厳しい状況にあることは承知しているが、新たなテーマを皆様方からあらためて頂く段階ではない」と述べた。
発注者・受注者の情報共有の取り組みとして、石川大造副会長はワンデーレスポンスの拡大と、発注者・設計者・施工者による三者会議の必要性を指摘。県側は、09年度のワンデーレスポンスとして「全事務所の全事業課で1件以上」を目標に掲げる方針を示した。三者会議については、県では「工事監理連絡会」がそれに対応するものであると説明した。
このほか、協会側からは、ガードマンの単価の改善や災害協定の一元化なども要望した。
閉会に際して衛門部長は、一般紙の記者に対して低入札対策について説明したエピソードを紹介。
「適正利益を侵害してまでも安く受注するのはおかしい。災害時にすぐに出動してもらえるような懐の深さを持ってもらえることが発注者にもいいことだと話した。これに異論はなかった」と語った。
建通新聞社 静岡支社