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建通新聞社(東京)
2009/05/19

【東京】大手不動産5社の決算 5社いずれも減益に 次期は3社が増益見込み 分譲は明るい兆しで積極姿勢

 大手不動産5社の2009年3月期決算が出そろった。三井不動産、三菱地所、住友不動産、野村不動産ホールディングスの4社が前期に比べて増収を確保したが、企業業績の急速な悪化やマンション販売の不振の影響で5社ともに減益決算となった。ただ分譲事業では、土地代や建築費などコストは低下傾向にあり、ゴールデンウィーク期間中のモデルルーム来場者数も好調に推移するなど足元の販売環境には明るい兆しも見られるようで、10年3月期は、4社が微増ながら増収、純利益で三菱地所と住友不動産、東急不動産が増益を見込んでいる。
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 09年3月期の賃貸事業は、期の前半は堅調に推移したものの、08年9月のリーマンショックなど世界的な金融市場の混乱の影響を受けた企業の業績悪化に伴い、期の後半はオフィス需要が停滞した。
 三菱地所は3月末に竣工した「丸の内パークビル」が満室稼働、丸の内エリアの空室率は09年3月末時点で1・1%を維持する。しかし、景気低迷から企業倒産などによるテナント退去の事態を想定、10年3月期は既存ビルで約20億円の減収を見込む。同社は丸の内エリアの再構築として「(仮称)丸の内1−4計画」(12年1月竣工予定、総事業費約600億円)などを進めていく。
 住友不動産も、既存ビルはテナントのコスト意識の高まりから減収を予想、10年3月期末の空室率は「1%程度アップし、6%ぐらい」と見る。 昨年、NREG東芝不動産を連結子会社とした野村不動産HDは、賃貸床面積を前年同期比約1・9倍の73万平方bに拡大。「現時点では大きなテナントの退去予定はない」とし、10年3月期末の空室率は09年3月期末と同水準の2・6%程度を見込む。
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 分譲事業は、マンションの売上計上戸数が減少したほか、棚卸資産の評価損を売上原価に計上し、減収減益が目立った。販売不振で完成在庫の圧縮も思うように進んでいない。
 三井不動産は09年3月期末在庫数の8割を郊外と地方に抱え、三菱地所も例年の約4倍の在庫数となった。住友不動産の在庫数も過去最高水準。 しかし、年明け以降、政府の減税政策や相次ぐ景気対策が功を奏したのか、消費者の買い時感は高まっており、各社は「潮目が変わった」と見て積極姿勢に転じている。 藤和不動産を連結子会社とした三菱地所は、住宅事業の強化を目指す。ストックの管理体制を整え、2社で販売ノウハウや発注方法を共有する。ただ仕入れや企画は個別の戦略とし「パークハウス」、「ベリスタ」の両ブランドを引き続き展開する。また、土地代の低下をチャンスと見て用地取得も進める。
 住友不動産は、09年3月期第4四半期は「想定を上回る販売実績だった」と購買意欲の変化を話す。在庫については「古い在庫ほど利益率は良い」とし、3〜5年前に用地取得、建築した在庫の圧縮を引き続き進める。 同社の分譲事業を見ると、08年3月期の分譲事業は営業利益427億円で過去最高益を記録、09年3月期は同307億円と前期に比べて落ちたが、「反動で好調な部類に入る」とする。しかし在庫消化が順調に進むかはなお不透明で、10年3月期の分譲事業では、営業利益率約10%と09年3月期に比べて約6ポイント減を予想する。

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提供:建通新聞社 首都圏本部東京支社