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建設経済新聞社
2009/05/12

京都建設業の未来を探る 米田教授ら招きオープン研修会

壇上のパネラー(手前から米田雅子教授、麻生純副知事、岡野益巳会長)
 日本青年会議所建設部会京都建設クラブ(竹田幸平代表)が主催、弊紙が協賛する5月オープン研修会「建設業からはじまる京都の発展〜建設産業の未来を考える〜」が9日、下京区のホテル京阪京都で開かれた。麻生純京都府副知事、米田雅子慶応義塾大学教授、岡野益巳京都府建設業協会会長をパネリストに迎え、パネルディスカッションを通して京都の建設業のあり方を探ったもので、近畿地方整備局や京都府など行政機関、府市会議員、建設業界などから多くの来場者も参集、地域活力としての建設業のあり方について学んだ。
 冒頭、竹田会長は、もし明日世界が滅びようとも、私は今日、リンゴの木を植える−とした故事を例に挙げ「今日の研修会の学びや出会いが、みなさんにとって次の世代に対しリンゴの木を植えるきっかけになることを祈念します」と開会あいさつ。また来賓として登壇した国土交通省近畿整備局の木下誠也局長は、これからの建設業のあり方の一つとして「技術を磨く企業、新しい取組みに汗をかく企業が報われるように公共工事の仕組みを改善していかなければならないと思っています」と述べるとともに、「今日のパネルディスカッションを楽しみにしています」と研修会のテーマに期待を寄せた。
 このご、岡野真之会員交流委員長のコーディネーターによりパネルディスカッションがスタート。
 建設業の厳しい現実について岡野会長は、平成10年に487社だった協会会員が、現在では296社にまで減っているとして、廃業や倒産などの多発、リストラ、賞与カットなど受注量減少と過当競争による厳しい業界状況を訴えた。
 この状況に対する京都府の取組みについて麻生副知事は、地域のことを良く知っている地域の建設業者は安心・安全につながる。21年度当初予算では単独事業を15%増額したほか、早期発注、地域要件を加味した総合評価制度の導入などを実施、地域の建設業者が頑張っていけるような環境をつくりたいとした。
 建設業の新分野進出について米田教授は、まずピーク時685万人で84兆円産業だった建設業が、今は市場規模で4割減、公共に限って言えば半減しているにもかかわらず、就業者数は2割程度しか減っておらず供給過剰の状態に陥っている。しかし、建設業は多くの地域で雇用の受け皿になっており、簡単に他産業が取って代わるのが難しい。このため、単純に建設業を減らすのではなく、3割の建設業を農業や林業、福祉関係などの地域ビジネスへと多角化・副業化させ、専門業を中心にした残る7割を専業化させることで、失業なき建設業再編を進めていきたいと話し、各地方で多角化を進める建設業の先進事例を紹介した。また将来的には、45兆円産業、就業者数430万人程度で安定させ、日本の国土基盤を守っていくようにするのが良いのではないか−と説いた。
 このほか、京都府下での建設業の異業種連携事例紹介、提案型産業への転換(麻生副知事)、地元業界としての新ビジネスの取組み、(岡野会長)などが報告・提案され、会場にあつまった参加者も熱心に耳を傾けていた。