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建設経済新聞社
2009/04/30

向日町競輪場の存廃論議を開始 22年度には委員会で結論 現地視察や意見聴取も予定

 収益の悪化や施設の老朽化など事業そのもののあり方について検討する第1回向日町競輪事業検討委員会(委員長・田中敦仁関学教授)がこのほど開かれ、京都府の競輪事業存廃をめぐる議論が正式スタートした。10回程度の開催を経て22年度の一定時期に委員会としての意見がまとめられる見通し。存続となれば、昭和40年代の建設が中心となっている各施設の抜本的な整備が必要になる一方で、廃止の場合は6f近くの広大な市街地用地が生まれることになり、委員会議論の行く末が注目されている。
 向日町競輪場は、向日市役所向かいの寺戸町西ノ段5番地に昭和25年、京都府が設置・運営者となり開設した。公営ギャンブルとして収益金の一部は府の一般会計に繰り入れされ、その額は累計(〜11年度)で445億円にも上っている。また、設置場所の向日市などにも交付金が支払われるなど、永年府や地方自治体の財政基盤を支えてきた。
 しかし、近年の競輪離れなどで経営状況が悪化し、府への繰り入れは12年度からストップしたまま。また対処的な補修整備を行なっているものの、メインスタンドなどの主要施設は昭和40年代に建てられた老朽施設で、その対策が問題にも。さらに府監査委員から事業存廃についての検討も求められていたこともあって、昨年秋には知事が「中長期の展望が見通せない」と廃止の検討を示唆、有識者らによる委員会で議論することになっていた。
 これを受けて、21日に開かれた第1回委員会には、学識経験者として大学教授2名、公認会計士、弁護士、企業経営者ら計7名が出席、田中敦仁関西学院大法学部教授を委員長に選出するとともに、存廃をめぐっての意見交換が行なわれた。「しっかりと現場や関係者の意見を聴いたうえで議論を詰めていきたい」として、今後は現地視察や関係者からの意見聴取、他府県事業の視察検討などを含めた委員会の進め方なども確認され、5月下旬から6月には次回委員会が開かれ、まず現場の視察を行なう予定だ。
 ただ、50年以上も運営され、地域経済にも大きな影響を及ぼしている競輪事業でもあり、存廃決定には深い論議をつくす必要があることから、委員会は21〜22年度にかけて10回程度の開催となる模様。このため今のところ終了時期は明確にされておらず、一定の方向がまとまれば、委員会として意見をまとめ、知事が存廃を最終判断することになっている。
 なお、向日町競輪場の敷地は5万7078・68u。収容人数は約2万人で、傾斜角最大30度の400m走路を備え、メインとなる中央棟はRC4階建、延3526・34u(昭和43年)の規模となっている。