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甲賀病院の移転地位置図 |
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公立甲賀病院組合(管理者=谷畑英吾・湖南市長)は、既存施設の老朽・狭隘化に対応する公立甲賀病院移転新築整備事業について、21年度は実施設計業務に取りかかる考えだ。高度医療や保健、福祉を包括し、がん診療連携拠点・災害拠点病院として広く地域医療を担える機能と設備を備えた甲賀保健医療圏の中核病院にふさわしい病院をめざす。24年度の開院に向け具体化していく。
公立甲賀病院(甲賀市水口町鹿深3番39号)は、甲賀市と湖南市の2市で構成する一部事務組合病院。25診療科目、合計467床を持つ地域の中核病院だが、古い施設は昭和39年築と老朽化。敷地2万0226u(借地駐車場等含む)で、駐車場も分散している。耐震問題や狭隘化などを解消するため、移転新築による全面的な建て替え構想が浮上した。
平成10年に水口町虫生野地先(甲賀看護学校の周辺)を建設予定地としたマスタープラン(自治体病院施設センターが担当)を策定。17年3月には新病院の基本設計(佐藤総合計画が担当)を完了していたが、用地取得が難航。同年11月に虫生野地先での交渉を断念した。18年9月に既存病院を中心とした半径5q圏内の水口町内で新たな移転事業用地を選定することとし、20年3月には移転候補予定地を公表。6月25日の病院組合議会臨時会で事業基本項目の変更が決定した。
移転地は、甲賀市水口町松尾地先(市街化区域)の甲賀市市有地。国道1号北側にある住宅団地『水口松尾台』西側に接し、水口北保育園の南側に位置する南北に伸びた敷地面積約5万3000u。現甲賀病院から北東約1・4qの距離にある。旧水口町が近畿大学工学部の誘致先として水口町学園都市開発事業を進めていた場所で、平成5年の造成完了後16年間遊休地。市有地のため買収の必要性がなく、一次造成も終えた未利用地となっている。
新病院の計画概要は、病床数が概ね413床、延床面積は3万3000u以内。駐車場区画数約1250台分。19年12月に総務省から示された公立病院改革ガイドラインでは「民間病院並みの水準の整備費による」と定められており、甲賀病院では、民間病院整備で実績のある特定非営利活動法人・医療施設近代化センター(東京都千代田区)と顧問契約を締結。限られた予算の範囲内で良質の新病院建築に臨むという。
20年度は、基本設計変更業務を公募型競争入札により内藤建築事務所(京都市左京区)に委託し、旧候補地での基本設計成果品を可能な限り反映させるよう、詳細を確定。このほか造成計画測量調査設計業務を村上興業(甲賀市)、土質調査業務を国土地建(甲賀市)にそれぞれ委託した。このうち、基本設計変更業務と土質調査業務は完了。造成計画測量調査設計業務については、監督官庁との開発協議のため21年11月末頃までかかるとみられる。
21年度に発注が見込まれている実施設計業務および監理業務についての契約方法(競争入札・随意契約等)については、現時点では未定。また、競争入札になった場合、基本設計業務受注者の参加を制限することはない。21年度における移転新築整備事業予算額は2億4500万円。実施設計委託料、医療機器関連経費など。このほか、開発協議のための20年度からの繰越額3000万円。
新病院に期待されている機能が発揮できる計画を調整し、今後、詳細な日程や事業費等が確定する予定。「ハートフル甲賀〜愛・やさしさあふれる甲賀病院」を基本コンセプトとして、21世紀における甲賀保健医療圏の中核病院にふさわしい病院づくりに向け、地域住民に安全安心な保健・医療・福祉・介護サービスを確保するとともに既存病院の耐震問題、医師・看護職員等の確保問題および病院経営の安定化のためにも、移転新築整備事業を進める。新病院の開院時期は24年度を目標としている。 |