建通新聞社(東京)
2009/03/31
【東京】低入札価格制度を改正 提出書類の厳格化など
東京都は、提出書類の厳格化や施工体制の強化などを柱に低入札価格調査制度を改正する。4月1日以降に公告する工事から適用。極端な低入札には、工事原価(材料など)に関する実績資料(過去1年以内)など明確な積算根拠の提出を求めるほか、提出の遅れや書類の不足だけでも落札を決定しないよう規則を厳格化する。さらに、国土交通省が実施している「特別重点調査」の導入なども視野に、2009年度の早い段階でさらに調査内容を厳しくする考えだ。
低入札価格調査制度の対象工事件数は、財務局契約工事で06年度に44件とピークを迎えたが、07年度には33件へといったん収束。ところが、08年度は40件へと再び増加、景気悪化に伴って公共工事の受注意欲が高まり、来年度以降に低価格での応札がさらに増えることも懸念される。制度の厳格化でこれ以上の増加を食い止める。
4月1日付の改正は、提出書類の厳格化が柱になる。調査対象工事では、入札価格内訳書などの書類を「原則5日以内」に提出させるとともに、資料の追加や差し換えも認めないようにする。工事原価に関する価格が極端に低く「手抜き工事や下請けへのしわ寄せが懸念される場合」では、材料・資機材・労務に関する単価の過去1年以内の実績資料(下請契約書、賃金台帳など)の提出も求める。
提出の遅れや書類の不足など、形式的な不備でも落札を決定しないことも有り得る。
提出書類の厳格化について都は、今後の特別重点調査の導入も見据える。同調査は国土交通省が直轄工事のダンピング対策として実施しているもの。低入札価格調査の対象になった工事のうち、応札額の内訳が一定割合を下回った工事に、入札価格の妥当性、施工体制、安全衛生管理体制など多岐にわたる資料の提出を求める。
都は、09年度早期に調査内容をさらに改正するとしており、入札契約制度改革研究会(会長・郷原信郎桐蔭横浜大学教授)での議論も踏まえた形で、特別重点調査の導入など、調査内容の一層の厳格化を図る
4月1日付で行うこのほかの改正では、調査対象工事のうち、土木・建築工事で監理技術者などの増員配置(1人)を図る。設備工事については工事内容に応じて試行。また、調査時のヒアリングに配置予定技術者の出席を義務化し、安全・施工管理の留意点を技術者から直接聞き出すなどとしている。