「スポーツも企業もトップの力量が大きく左右する」―。元プロ野球選手の元木大介氏が組織におけるトップの役割とチームワークの重要性を説いた。4月11日に、三島市内で開かれた加和太建設協和会の特別講演会で講師を務め、自身の体験をもとに組織トップの在るべき姿を語った。
元木氏は、読売巨人軍での現役生活やコーチ時代に共にした4人の監督(藤田元司氏、長嶋茂雄氏、原辰徳氏、堀内恒夫氏)とのエピソードを披露した。
入団当時、二軍のグラウンドで練習していた元木氏に、たまたま訪れていた藤田監督が「調子はどうだ」などと実績の有無を問わず、若手一人一人に声を掛けたという。元木氏は「現場のトップであり、当時すでに名将であった藤田さんに名前を呼んでもらえて、若手選手にとって非常に励みになった」と述懐した。企業においても「トップの人間が何気ない声掛けをするだけでも、若手社員は『ちゃんと見てくれている』と意識を持ち、成長を促すはず」と持論を述べた。
また、自身がコーチを務めていた時代に首脳陣同士の足並みがそろわず、結果が出なかったシーズンを振り返り、「選手間にも首脳陣の一体感のなさが伝わり、優勝できなかった。会社組織も同じで、幹部同士に摩擦があれば部下は敏感に感じ取り、いい成果をもたらさない」と警鐘を鳴らした。
この他、「ミスタージャイアンツ」の長嶋氏とのエピソードを明かしつつ、「部下が『あの人のために頑張ろう』と一枚岩で思わせるような組織だと、困難にも立ち向かえる。一方で、トップに立つ人が慢心してしまうと、それが組織に伝わる。『協力・理解してくれる企業』があってこそ、存在しているという思いを忘れないでほしい」と謙虚さを持ち続けることの大切さを強調した。
提供・建通新聞社