富山県建設業協会働き方改革委員会の高平公輔委員長と安達正彦、酒井健吉副委員長は16日、県庁を訪れ、2024年度「建設業の雇用実態と経営状況に関する調査報告書」を、県土木部の山下章子理事・次長、川上孝裕次長に提出した。
この日はまず、高平委員長が山下次長に調査報告書を手交。協会の事務局から報告書の概要を説明後、同席した県土木部建設技術企画課の根上幹雄課長と安川哲二主幹を交えて、双方で活発に意見交換した。
報告書は、建設業界の雇用改善や若手技術者・技能者の入職と定着を促す方策を検討する基礎資料として毎年、雇用実態や経営状況を調査しているもの。調査項目は、(1)対象企業の概要(2)雇用(3)給与・賞与、賃上げ等(4)休日数・休日制度、働き方改革への対応(5)建設DX、クラウドサービス等の活用状況(6)経営状況(7)経営環境の見通し(8)発注者の対応(9)今後の建設業のあり方−の9点。
調査結果ではこれまでと同様、県内建設業にとって「人材の確保と育成」が非常に大きな課題であるとし、就労環境の改善を進め、若手の確保・育成、定着につなげていくことが必要と指摘。また、建設業が将来にわたって、「地域の創り手」、「地域の守り手」としての役割を果たしていくためには、中長期的に安定した工事量の確保を図ることが不可欠であると述べている。
両次長との面談後、取材に応じた高平委員長は、「建設業では特に人材の確保が課題。世代間における考え方のギャップもあり、若手の育成は難しい」と述べた上で、「DXを用いて省力化、効率化を図ることにより、残業を減らし、現場で利益が確保できる業界にしなければいけない。そのためには、県土木部が4月から運用を開始した、工事書類スリム化ガイドが円滑に進むよう期待している」と力説。
さらに、「技術の伝承も含め課題は多いが、新規採用はもちろん、若手の育成に力を入れていくため、実態を理解していただき、現状に配慮した発注につなげるためにも、官民で話し合うことは今後の大事なベースになる」と話している。
委員会ではその後、富山土木センターも同様に訪問。18日には、北陸地方整備局富山河川国道事務所にも報告書を持参することにしている。