愛知県保健医療局は、「新愛知県がんセンター整備基本計画」を策定し、がん予防医療研究センター(仮称)の新設などとともに、整備手法にPFI手法を導入することや、想定する整備スケジュールを明らかにした。2025年度はPFIに関わる調達準備を行い、26年度に入札公告を予定、28年度末ごろに着工し、新病院棟の34年度オープンを目指す。3月24日に会見した大村秀章知事は、基本計画の事業概要などを説明した上で「愛知がんセンターが、今後も日本のがん医療・がん研究をけん引し続けることができるよう、検討していく」と述べ、同センターが果たす使命を強調。25年度当初予算には、同センター整備推進費として1億9762万円を計上した他、26年度を期間とした債務負担行為で1億3014万円の限度額を設定している。
基本計画で示した現時点の想定規模は、新病院棟が延べ5万0200平方b(既設5万0795平方b)、新研究棟が9800平方b(既設1万2473平方b)で、計6万平方b(既設6万3268平方b)で、現状より約3000平方b縮小。ただ、延床面積には、院内保育所など付属棟の面積は含んでいない。
機能面では、病床数の案を410床とし、現状の500床より90床削減。これは、医療技術の向上などにより、治療が入院から外来へシフトし、平均在院日数が短縮(1992年の53・5日から、2023年の11日に短縮)したこと、また現在の病床稼働率が60〜70%で、これを90%に上げることを想定しているため。一方で、外来シフトへの対応として、手術室数を12室(現状10室)、診察室数を60室(現状52室)へと増加することを計画している。
整備手法については、建て替え事業にPFI手法を導入し、発注を効率化するとともに、 病院部門の運営にもPPP手法の導入を検討。いずれの事業範囲についても今後、細部の検討を進める。
事業スケジュールは、25年度にPFI調達準備、26年度に入札公告と落札者決定、27〜28年度に基本設計と実施設計、28年度末ごろに工事着工、34年度に新病院棟オープン、38年度に新研究棟オープンとする想定案を提示。病院運営を行いながら、敷地内で新築と移転を繰り返す工程を見込んでいる。
施設の新規機能として、がん予防医療研究センター(仮称)を新設し、 遺伝性腫瘍などを対象とした高度な技術による検診の実施などを行う。また、緩和ケア病棟を新設し、緩和ケア病床のない名古屋市東部地区の病院として設置する。経営形態については、経営の一層の効率化を推進し、地方独立行政法人化を含めて検討する。
25年度は、PFIアドバイザリー業務委託を2カ年度に掛けて契約し、26年度に選定手続きに着手。また、敷地現況(地質など)に関する調査、既設のアスベスト調査などを予定している。
既設は、病棟、研究所棟、立体駐車場などを含め総延べ6万9580平方b。1983年以降に順次建設されてきた。敷地面積は4万9788平方b。所在地は名古屋市千種区鹿子殿1ノ1。
提供:建通新聞社