神川町は、第3期町総合戦略案を策定した。今後5年間(2025〜29年度)を計画期間とし、人口減少に歯止めをかけ、地方創生を実現するのが目的。そのための基本的な方針や、地域に適した効果的で具体的な施策などをまとめた。道路交通網の強化などを図るため、町道舗装率を29年度に55%にまで高める目標などが示された。
今回の総合戦略は24年7〜8月に18歳以上の町内在住者2000人を対象に実施した町民アンケート(回収率28・7%)の結果を踏まえて、策定された。総合戦略の策定のために町民アンケートを実施したのは初めてという。
同町の人口は00年に約1万5200人となりピークを迎え、以後は減少傾向にある。このため、同町の実情に応じて地域特性を生かすため、15年に「町総合戦略」(15〜19年度)を策定。さらに、20年には「第2期町総合戦略」(20〜24年度)を改訂している。
ただ、24年に示された国の報告書では、同町が、20〜30代の女性が50年までに半減することなどが想定される「消滅可能性自治体」に、新たに位置づけられるなどしており、深刻さは増しているといえる。
今回の戦略では、「デジタル化の推進による町民の利便性の向上と便利で快適に暮らせる社会の実現」といった5つの基本目標を設定した。
「定住促進と町内に向けた新しい人の流れをつくる」とした基本目標では、主な施策として、町道と林道の一体整備や、国道254号のバイパス建設促進などが掲げられた。
一体的整備による周辺産業の効率化やバイパス道路整備による地域の活性化を推進するのが狙い。そのための評価指標として、町道舗装率を現状の51・4%(25年度)から55%(29年度)に高める目標を示した。
同町総合政策課は「未舗装の道路を減少させることで、地域で盛んな林業など周辺産業の活性化に役立つほか、車利用の多い町民らにも便利な生活を提供できる」と説明する。
また、「町内における担い手の育成と安定した雇用の創出」とした基本目標では、計画期間中の新規企業立地数を5件と設定。評価指標として、住宅リフォーム資金補助事業による経済効果を、計画期間累計で8500万円を目指すとした。前戦略期間から800万円ほど高めの水準を目指す。施策としても、町内の建設事業者らが施工する住宅リフォームの支援を盛り込んだ。
森林整備や地元産木材の推進による雇用創出、遊休農地の調査などによる農地の有効活用といった施策も掲げた。
さらに、「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、暮らしやすいまちづくりを推進する」とした基本目標では、行政運営の広域的な連携推進の施策として、県内北部7市町が空き家対策などを連携して情報発信するほか、部会を組織して地域的な課題解決を図ることなどが提示された。
一方、基本目標「デジタル化の推進による町民の利便性の向上と便利で快適に暮らせる社会の実現」では、デジタルデバイド対策として、町民のITリテラシー向上に向けIT拠点を整備するという。
パブリックコメントは26日まで行われ、総合戦略案は町ホームページや役場本庁舎2階(総合政策課)などで閲覧できる。
提供:埼玉建設新聞