名古屋港管理組合は3月11日、一般会計の建設費・政策企画費に168億9868万円を充てる、2025年度予算案を発表した。水族館の機能向上の基本計画を25年度にまとめる他、ガーデンふ頭再開発について、26年度の事業者公募に向けた準備を進めていく方針だ。また、初めての取り組みとして、制限区域のふ頭保安設備の整備・管理運営の事業者をDBM方式で選定するため、限度額43億円の債務負担行為を設定している。
水族館の機能向上は、本年度に基本構想を取りまとめる予定で、25年度には水族館機能向上調査を委託し、施設配置や規模といった基本計画を策定する見通しだ。
基本構想の素案によると、機能向上は現施設を活用した上で、新たな展示コンセプトに「気候変動」の視点を取り入れる考えを示している。施設機能では、館内の混雑緩和をはじめ、飼育面積や室内飲食スペースの確保といったさまざまな課題を解消するため、しおかぜ広場敷地を有効活用する方針を示した。構想では、課題解決を図るべきエリアとして、南館の2階(日本の海)と3階(南極エリア)、北館(2階水中観覧席、シャチ・イルカ・ベルーガプール)、水族館全体(雨天時飲食スペース、環境教育スペースなど)―の4つを挙げている。
ガーデンふ頭再開発では、26年度に事業者の公募手続きを進める考え。同再開発用地は、26年アジア・アジアパラ競技大会の選手団宿泊施設の設置方針が示されている。現時点で同組合に具体的な内容が示されていないため、再開発の具体的なスケジュールは見通せないと説明しているものの、今後設置内容が示され次第、再開発の事業者公募に向けた準備も並行して進めていくとしている。
再開発の検討に当たって同組合は、23年度に計画立案段階から再開発に精通した民間事業者の協力を得ることと、開発候補者の確保に力点を置く方針の下、協働事業者を公募。大成建設中部支店を選定して検討を行ってきた。同組合の説明によると、再開発に向けて「組合として一定の成果が得られた」としている。
ふ頭保安設備の整備・管理運営事業は、設計・施工に3年程度、管理運営に15年間を充てる計画。事業者は総合評価落札方式の技術提案(簡易型)で選ぶ見通しだ。同組合が管理する制限区域は、金城ふ頭がメインで、弥富、稲永、潮凪、飛島ふ頭の各一部にある。また、同組合の保安設備は振動・赤外線のセンサー、カメラ、照明などで構成している。
DBM方式を導入する狙いはまず、トータルコストの縮減。04年度〜22年度の集計によると、保安設備の初期投資約13億円に対し、維持管理に約16億円を要していて、すでに初期投資を超える費用がかかっているという。メンテナンスを含めた事業とすることで、事業者の創意工夫を発揮してもらう余地を広げる方針だ。
南5区の新舞子マリンパーク風力発電施設では、年間を通じた風況調査のデータが取得できたとし、事業実施に向けた準備を進めるとともに、既存施設の撤去費(限度額1億3200万円、期間26年度の債務負担行為の設定)を盛り込んだ。
一般会計の予算規模は301億7000万円で前年度比0・6%増。施設運営事業会計は80億7600万円(前年度比13・6%増)、埋立事業会計は23億0100万円(同23・7%増)で、基金特別会計を含んだ予算総額は408億0730万円(同4%増)。
提供:建通新聞社