建通新聞社(東京)
2025/03/12
【東京】地整 成績評価細分化 25年度方針
国土交通省関東地方整備局は総合評価方式による工事の発注で工事成績の評価基準を見直して細分化する。また、技術提案評価型S型のWTO調達協定対象案件で参加表明時に技術者資料を求めない方式を試みたり、若手・女性技術者奨励賞を創設して受賞者に加点したりする。入札・契約と総合評価に関する2025年度の実施方針案に盛り込んだ。
工事成績の評価基準は関東地整や都県・政令市が発注した工事の、成績評定点の平均点に応じて配点。最大配点が6点の施工能力評価型は4段階評価で、平均点が80点以上に6点、75点以上80点未満に3点、70点以上75点未満に1点を与え、70点未満と実績なしは0点としている。
見直しではこれを7段階評価に細分化。平均点が80点以上の6点や70点未満と実績なしの0点はそのままに、79〜76点に1点刻みで5点〜2点を、70点以上76点未満に1点を付与する。成績評定点は年々高得点化の傾向が強まっていて、23年度は平均点80点以上(配点6点)が32・6%、平均点79点(3点)が32・4%でほぼ並ぶなど、上位ほど配点の格差が大きい状況を軽減する狙いがある。
技術提案評価型S型のWTO調達協定対象案件では参加表明時に技術者資料を求めない方式を試みる。手続き期間が長い中で企業側の技術者配置をしやすくするためで、提出期限を落札前まで延ばす。拘束期間はこれまでより約2カ月短くなる。
また、若手・女性技術者奨励賞は将来の担い手育成と若手・女性の入職促進を後押しするために創設。これに伴い過去4年間で受賞経験がある技術者がいれば1点を付与する。さらに、若手技術者活用評価型などの評価対象に女性技術者を加える。
関東地整発注工事の実績が少ない企業を参入しやすくするための見直しも進める。優良工事表彰の実績に応じた加点措置を廃止し、施工実績と工事成績に基づく点を下げる他、配置予定技術者の技術力の評価も廃止して企業の技術力のみの評価とする。実績が少ない企業にとって加点に結びつきにくい項目の配点などを見直すことで新規参入企業の受注機会の確保につなげる。
ワーク・ライフ・バランス関連認定企業の評価では、工事種別や等級などに関わらず総合評価方式の全案件で加点する。これまでも加点対象だった一般土木Bと建築のB以上の工事は1点、それ以外の工事は0・5点とする。
〜WLBに加点開始 業務来年度方針案〜
国土交通省関東地方整備局は総合評価方式やプロポーザル方式によるコンサルタント業務などの発注で、ワーク・ライフ・バランス(WLB)関連認定企業を加点評価する。若手・女性技術者奨励賞の受賞者や、関東地整発注業務の受注経験がない企業にも加点する。これらを入札・契約と総合評価に関する2025年度の実施方針案に位置付けた。
WLB関連認定企業に対する配点は0・5点。加点対象の認定に「プラチナえるぼし・えるぼし」「プラチナくるみん・くるみん・トライくるみん」「ユースエール」を挙げた。
若手・女性技術者奨励賞の評価では、関東地整の発注業務で同賞を事務所長から受けた経験がある技術者に1点を加点する。毎年度3月31日時点で35歳以下の若手技術者や女性技術者(年齢制限なし)から受賞者を選ぶことにしている。
また、若手技術者の活用に関連して、40歳以下に一律8点を与えてきた配点を、35歳以下なら8点、40歳以下であれば5点に見直す。若手技術者とそれ以外の技術者で業務成績評点の差がほとんどなかったことから、評価を段階的にして若手技術者のさらなる育成・確保につなげる。
関東地整発注業務の受注経験がない企業への加点は、実施能力評価拡大型で措置して新規契約がなければ5点を与える。その分、9点としてきた同種・類似業務の実績の配点を4点に下げる。提供:建通新聞社