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建設経済新聞社
2025/03/10

【京都】次期クリーンセンター整備等検討部会が初会合 下水未整備や敷地形状など課題示す

 京都市は7日、廃棄物減量等推進審議会に設置した「次期クリーンセンター整備等検討部会」の初会合を開催。脱炭素や強靭化、ライフサイクルコストの低減など課題の検討に入った。
 次期クリーンセンター(次期CC)の整備を巡っては、現在稼働している東北部CC、北部CC、南部CCの3CCのうち最も古い東北部CCの後継施設として、西京区大枝の旧西部CC敷地を建設候補地としている。旧西部CC敷地は西京区大枝沓掛町26の敷地面積約8万7000u(山林部分等も含む)。旧西部CCは昭和46年度に竣工。その後、平成16年度末に廃止となり、平成19年度に建屋を流用し、プラスチック製容器包装圧縮梱包施設が竣工。令和4年度末に同施設を廃止。以降、プラスチック類の中継地として運用。
 旧西部CCの主な課題は、▽下水道が未整備かつ新規整備も困難(旧西部CC敷地まで下水道を新規整備することは困難であるため、施設で処理した排水は河川放流(又は場内で全量再使用して無放流)する必要がある。同様に上水道も敷設されておらず、現在は国道9号沿いに受水槽を設け、そこから仮設配管を設けてポンプをくみ上げている。次期CCの運営には多量の水が必要なため、新たな配管や受水槽の敷設が必要)▽敷地形状が特殊(現状における整地された部分の形状が縦長で、高低差があるため、次期CC建設時に造成が必要となる可能性がある)▽エネルギーの近隣への供給が困難(近隣に住宅や工場等が無く、余熱や電気等の供給が困難)。
 技術的課題としては、▽資源循環、脱炭素化への貢献(2050年CO2排出量正味ゼロ)▽最終処分場の削減(東部山間埋立処分地の延命)▽ライフサイクルコスト及び市財政負担の縮減▽災害時も継続して稼働できるような施設や設備の強靭化。
 施設仕様の検討内容は、▽施設規模…年間焼却量33万t(現行の「京・資源めぐるプラン」の令和12年度目標値)の場合、次期CCの施設規模は350t/日▽処理方式▽排ガス処理方式。
 このほか、持込ごみの受入体制、ごみ処理の広域化について、審議会・部会と並行して市で別途検討するが、施設規模や施設配置計画に大きく影響するため、検討状況を共有し、適宜反映するとした。
 今後の調査・検討項目案は、▽施設規模(処理すべきごみ量目標設定…令和7年度上、施設規模・計画ごみ質・発電能力等を整理・検討…令和7年度下)▽ごみ処理方式や排ガス処理方式の比較検討(ストーカ炉、流動床炉、ガス化溶融炉を軸に比較検討。排ガス処理設備性能や環境負荷低減方法も比較検討。それぞれ近年の採用実績等とりまとめ)…令和7年度上・下▽資源循環・脱炭素への貢献にかかる調査・検討(廃棄物エネルギー利活用、バイオガス化施設の併設、資源回収の推進、CCUS、建築ZEB等の調査検討)…令和7年度上・下▽最終処分場の減量にかかる調査・検討(灰の資源化、灰からの資源回収等、最終処分量を減量するための技術や事例調査、コスト及び脱炭素化の観点からの比較検討)…令和7年度上・下▽災害時対応機能の整理(施設の強靭化、BCP等を検討し、想定される各災害への対策を検討)…令和7年度上・下▽施設配置計画(主要な建物等(工場棟、管理棟、煙突等)について、敷地形状を踏まえ配置を検討)…令和7年度下▽その他(敷地概要調査、コスト削減方法、AI・IoT等の技術動向調査、関連法令のとりまとめ等)…通年)。
 市は、令和7年度当初予算案に事業費2200万円を新規計上するとともに、債務負担行為として限度額3900万円を設定(期間は7年度及び8年度)。
 今後は、令和7年度末の京・資源めぐるプラン改定を経て、8年春頃に次期CC整備方針を策定、夏以降に次期CCにかかる環境アセスの開始を目指す。環境アセスを経て12年度に入札事務を行い、13年度に工事契約し、建設工事を進め、19年度頃の稼働を予定する。