近江八幡市教育委員会は、子ども・若者育成支援施設の整備を計画している。教育相談支援機関の集約化に伴う旧人権センター(旧いきいきふれあいセンター)の改修および増築を行うもの。このほど設計業務を委託し新年度にかけて進める。工事発注時期については未確定だが、工期は12ヵ月程度を見込み、2026年度(令和8年度)中の完成、27年(令和9年)4月のオープンを目指す。
計画では、旧人権センター(近江八幡市鷹飼町南4丁目4―4〔敷地面積1354・57平方b〕)を、新たな複合教育支援機能の拠点として施設整備する。既存建物(改修工事)の規模はRC造3階建、延1155・86平方b(うち本館は延1092・86平方b)。用途の変更に必要な工事、子ども・若者育成支援事業を運営するための工事、建物の劣化を改修する工事を行う。
同事業運営に必要な施設を確保するための不足分の増築建物(増築工事)の規模は2階建程度(構造未定)、延200〜300平方b程度を想定。音響設備が整ったスタジオやプレイルーム、テナント事業が可能な諸室が考えられている。
増築・改修工事の設計にあたり、建築に関する現地調査として、屋上屋根および防水調査、外壁タイル打診調査、外装および外壁の劣化調査、建具調査、内装調査、天井裏調査、トイレ地下ピット調査、昇降設備調査などを実施する。
電気設備および機械設備に関して、現在は施設を利用していない状態であるため、調査結果を基に既設利用、既設改修、更新を検討する。増築建物へ整備する器具・機器等については比較検討し、決定する。
これとは別に、高圧・受電設備や受水槽・給排水空調衛生設備は更新、既設浄化槽は撤去し公共下水道へ接続を想定しているため、必要な調査を行い設計を行う。また、改修対象室等の配管配線・機器および内外装改修に伴って同時に実施することが避けがたく、かつ、同時に実施することで効率的となる必要最小限の電気・機械設備の改修についても設計の対象とする。
敷地内にある別棟の倉庫(S造平屋建、延54平方b)や、自転車置場(延9平方b)、工作物、外灯なども全て今回の事業に合わせた改修設計を行う。
設計業務の受託者は、2月27日開札の一般競争入札で、第一設計監理(湖南市)を選定した。委託期間は契約締結日から来年2月20日まで。
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近江八幡市では、教育相談支援機関として、小学生から中学生を対象とした教育相談室と、20歳までの若者を対象とした少年センター(あすくるHAR)をマナビィ(旧南中学校)に設置し、相互の連携を図りながら相談支援業務を行っている。また、22年度(令和4年度)からは、臨床発達心理士を配置し、市役所南別館2階に39歳までの若者を対象とした子ども・若者相談窓口を開設した。
しかし、ハード面の課題として、現在使用しているマナビィは耐震面が不十分であることに加え、老朽化が進行し、機能面も旧の学校施設を引き継いだ状態が続いていることから、若者が相談のために一歩踏み出すにはハードルが高い。
また、市の現状として、国や県と比較して不登校児童生徒の在籍率が高く、学校や家庭だけでは解決困難なケースが大半を占めることから、各機関が連携して支援しているものの、縦割り的な対応では限界がある。相談窓口への相談内容は、特に若者においては就労への悩みや不安、仕事が続かないことへの自信喪失に関する内容が多く、就労につながることが難しいことから、多くのケースは定期的な面談や電話相談から進展しない。
このような背景において、24年度(令和6年度)から設計業務を開始し、26年度(令和8年度)中の工事完了を目指す既存の公共施設(旧人権センター)の増築・改修整備により、教育相談支援機関を集約した新たな拠点機能の構築を進めていくことにしている。
従来の就労支援のみでは、若者が孤立状態から社会となめらかに接続し、社会参加への扉を開けることは極めて難しいため、「若者が協働し、自ら『職』を生み出す起業支援」や「若者による、まちづくりプロジェクト企画と運営の支援」を行政施策として拠点を活用し展開することにより、子ども・若者育成支援事業の更なる進展を図る。
提供:滋賀産業新聞