神奈川県県土整備局は、県土整備局総合評価審査委員会(委員長・勝地弘横浜国立大学教授)を開き、2024年度(24年12月31日時点で開札済みの集計)に実施した総合評価方式について、建設工事と工事系委託業務の適用状況をまとめた。技術点1位による逆転落札が工事で36%、工事系委託業務で35%あり、技術力の高さを評価する制度が機能していることを確認した。
23年度に完成した工事の成績評定では、総合評価方式で発注した工事54件の平均点が81・9点。総合評価方式以外で発注した工事777件の平均点77・7点を4・2点上回る結果となった。80点以上を獲得した割合についても、総合評価方式の77・8%(42件)は、総合評価方式以外の32・8%(255件)を大幅に上回った。総合評価方式が工事の品質確保に寄与している結果が現れている。
工事系委託業務の業務成績評定を見ると、総合評価方式で発注した49件の平均点は79・1点、80点以上を獲得したのは全体の53・1%(26件)。総合評価方式以外で発注した794件の平均点76点、80点以上を獲得した割合19・1%(152件)を上回る結果となった。
24年12月31日までに開札した工事のうち、入札金額1位以外の参加者が落札した「逆転落札」は、全体の36%に当たる10件あった。逆転落札以外も含めて、技術点1位の参加者が落札したのは27件で96・4%を占めた。入札金額1位による落札64・3%(18件)と比べても、技術力を評価する総合評価方式の機能が働いていることが分かる。
工事系委託業務でも逆転落札は19件35%発生しており、技術点1位による落札は全体の92・7%に当たる51件だった。
24年度に発注した工事の評価項目の加点では、23年度から試行している「建設キャリアアップシステムの事業者登録」が92・6%で、23年度から7・8ポイント上昇した。「新卒者(技術者)の雇用実績」は51・9%となり、22年度の45・1%、23年度の46・2%からやや上昇した。「若手技術者・担い手の育成実績」は5・6%で、加点された企業が1割未満に留まる状況が続いている。
工事系委託業務の加点状況を見ると「若手技術者の活用」が80・4%で、23年度に引き続き8割の企業が加点を受けた。企業の社会性・信頼性および地域特有の課題(施策)への取り組みに関する自由設定項目では、75%が加点。BIMの活用や3次元モデル作成の実績などの事例があった。
提供:建通新聞社