国道8号(福井都市圏内)などを対象に、交通渋滞の解消を目指し、量から質へ、新発想で臨む、本格的な検討が始まった。
19日、福井市花堂南2丁目の福井河川国道事務所で、道路交通のサービス改善に向ける検討会の初会合が開かれた=写真。
国土交通省の本省が2023年10月にまとめた、社会課題の解決と、価値創造に向ける政策集「WISENET(ワイズネット)2050」の実践であり、全国初の試み。
ワイズネットでは、50年を目標年次に定め、「賢く安全」で「世界一」持続可能な基盤ネットワークシステムの構築を目指している。
冒頭、事務局を務める福井河川国道事務所の野村文彦所長が挨拶し「国道8号を含めた直轄国道の速度のサービスレベルに着目。道路交通の速度の実態を把握し、分析するなど。どういうネットワークが求められているか。地域課題に向きあいたい」と強調。会長を担う福井大学の川本義海教授も「社会は高齢化し、メンテナンスも含めて考える必要がある。より効率的で快適に。より早く、より安心し道路を活用できるか。国道8号では渋滞が頻発し、時間ロスがかなり発生。労働力不足が叫ばれる中、問題は深刻化する。環境問題からも車の責任は大きい」と指摘し、取りまとめに意欲を示した。
今回は、福井県の道路事情を巡る特徴点も紹介。自家用車の保有台数が全国1位で、共働き世帯割合が全国1位も大きな要因と分析。とりわけ課題は、都市間の連絡速度が顕著に遅く、全国平均が61キロ毎時に対し、福井都市圏は30キロ毎時と半減。渋滞の慢性化を如実に表している。
そこで検討会では、福井の地域性を踏まえ、交通の接続性(シームレス)を高める方策について様々に探る方針。例えば、交差点の改良や、ラウンドアバウト(特徴は中心の島の周囲を一方向に周回する方式のうち、環状の道路に一時停止位置や信号機がない)、交差点の立体化などを視野に入れている。
■目的 国道8号をはじめ福井都市圏の道路の渋滞解消など、地域の社会課題を解決するため、最新のデータを活用した道路交通の走行速度の実状把握と分析、求められるサービスレベル、それらを踏まえた新たな対策などを検討する
■検討内容 WISENET(ワイズネット)2050・政策集を参考に、福井都市圏の社会課題の解決に向け
・対象エリアの選定
・道路交通の走行速度のサービス水準の実状把握
・道路交通の旅行速度のサービス水準の低下要因の分析
・対策案の検討 等々
■検討会メンバー(敬称略、五十音順)
【学識者】
福井大学学術研究院 工学部 建築・都市環境工学科 講師 浅野周平
福井大学学術研究院 工学系部門 教授 川本義海
名古屋大学大学院環境学研究科 教授 中村英樹
福井工業大学工学部 建築土木工学科 教授 吉村朋矩
【行政機関】
国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所 所長と副所長
福井県土木部 道路建設課 課長
福井市建設部道路課 課長
福井県警察本部交通規制課 課長
中日本高速道路 金沢支社
高速道路事業部 道路管制センター 交通管制課 課長