高知県は2月14日、投資的経費に前年度比0・3%増の923億9300円を確保する2025年度当初予算案をまとめた。投資的経費は道路事業などで国の補助内示が想定よりも下回ったため、インフラ整備の基本となる公共事業などで対前年度比20億円を増額し対応した。
一般会計の総額は同1・8%増の4741億2800万円。新型コロナウイルス感染症関連予算を除けば令和以降で最高水準となった。増額の主な理由についてM田省司知事は「物価や人件費の上昇が影響している。その中で、最大の課題である人口減少対策などを中心に必要なものに対して積極的に予算計上した」と説明した。
インフラ整備には859億円を充て、四国8の字ネットワークや浦戸湾三重防護など必要性や緊急性の高い事業を推進するとともに、中山間地域の道路整備など地域の実情を踏まえたインフラ整備を進める。
南海トラフ地震対策には263億円を投入。「命を守る」対策として134億円を投じ住宅の耐震化促進や砂防など基礎調査を加速化させる他、石油基地の津波対策などを講じる。「命をつなぐ」対策では115億円を盛り込み、緊急輸送道路や啓開道路の法面の防災対策、市町村庁舎までアクセスするための県道整備などを進める。「生活を立ち上げる」対策に14億円を充て、市町村への事前復興まちづくり計画策定支援、地籍調査支援などを充実させる。
スポーツ振興として、整備内容や運営方法などについて調査・検討し基本計画を策定する県民体育館再整備事業に3795万円を盛り込む。
グリーン化では省エネルギー化による環境負荷軽減を図るため県有施設のLED化や空調更新、PPA方式による太陽光発電設備の導入を促進する。グローバル化ではインバウンド観光を進めるための高知龍馬空港新ターミナルビル整備事業費に4億9724万円(26年度債務負担として限度額26億5824万円を設定)などを盛り込んだ。
人口減少対策を強化するため新たに4S(持続可能な社会の実現に向けた賢い縮小)プロジェクトを追加。人口減少に適応した持続可能な社会の実現を目指し消防広域化など重点プロジェクトを推進する。現行15消防本部を全県1本部に統合する消防広域化の基本計画策定に2900万円を充てる。
M田知事は予算編成の考え方について「戦略的な人口減少対策、仕事・生活・安全安心を充実させる目指すべき高知県像、防災・減災対策をはじめとしたインフラ整備による災害に強い県土づくり、国の有利な財源の活用や事務事業のスクラップアンドビルドによる持続可能な財政運営をポイントにまとめた」と説明した。当初予算案は2月20日開会の県議会2月定例議会に上程される。
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建通新聞社