静岡県は2月10日、2025年度当初予算案を公表した。投資的経費は前年度並みの1961億9800万円(24年度当初予算比0・5%増)となった。能登半島地震の教訓を生かした道路整備や頻発化する豪雨災害への対策を新規事業に盛り込んだ他、賀茂地域で水道施設の広域的な防災計画の策定にも着手するなど、防災・減災に関連する新たな動きが目立つ。
防災・減災関連の新規事業では、災害発生時の交通混乱を防ぐために局所的な道路拡幅などを行う「命と暮らしを守る道路緊急対策事業」に25億円、河道拡幅や急傾斜地の擁壁整備など河川や土砂災害に対応するための「緊急豪雨災害対策強化事業」に25億円を計上。賀茂地域の防災計画策定事業には1770万円を充て、25〜26年の2年間で計画をまとめた後、水道施設の整備などに着手する。
既存の津波対策・河川海岸関連事業を見ると、津波対策関連には130億5466万円(同43・0%増)、河川海岸関連には111億6542万円(同3・6%減)を充当。津波対策は、「静岡モデル」防潮堤や海岸防災林の整備などの事業費が78億6300万円(同138・2%増)と2倍以上に伸びている。
この他、進行中の大型事業については、県立中央図書館関連に9億1190万円(他に債務負担行為を設定)、遠州灘海浜公園(篠原地区)関連に4億7300万円を計上。一度、入札が不調となった県立中央図書館は、条件などを見直して6月にも公告する予定で、26年度以降に工事が本格化する見込み。篠原地区については、24年度から引き続いて利活用協議会で協議を進めるとともに一部用地の取得に動く。
■中期財政計画 投資的経費を適正化
県は当初予算案と合わせて、25〜34年度までの10年間を期間とする中期財政計画を公表。近年の財政は、社会保障関係費や公債費の増加により義務的経費が増加していることに加え、国土強靱(きょうじん)化対策に伴う投資的経費の増加なども重なり、財源不足額が拡大しているという。投資的経費は、県立中央図書館や食肉センターの整備により27年度には大きく増加する他、その他の年も高い水準で推移する見込みだ。
県の試算によると、何も対策しなかった場合には、今後もリーマンショック時に相当する500億円ほどで財源不足額が推移するという。これを是正するため、大規模プロジェクトの見直しや投資的経費の適正化に取り組むとしている。
大規模プロジェクトの見直しでは、遠州灘海浜公園(篠原地区)の整備や県庁舎の建て替えを例示しており、費用対効果などを考慮して効率的な手法を講じるとしている。
投資的経費の適正化は、公共施設などの統合や廃止により最適配置とし、維持更新費の縮減や平準化に取り組むとしている。
また、25〜28年度を「改革強化期間」と位置付け、集中的に歳出と歳入の見直しを行う。歳出の見直しではコンセッション方式の拡充などの民間活力導入の推進、歳入の確保では企業誘致の強化や知事公舎、職員住宅など未利用財産の売却などを想定している。
■2月補正予算案 300億円強投じ防災・減災
県は2月補正予算案も同日に発表した。国の24年度補正予算を活用する形で、防災・減災・国土強靱化のために事業費304億3700万円(国直轄事業費負担金を含む)を計上した。
同事業費のうち、最も金額が大きいのは河川改修や地震津波対策などの河川分野で、97億0800万円が充当された。次に多いのが土砂災害防止施設の整備などを行う砂防分野の47億9000万円、道路施設の老朽化対策などを実施する道路分野の44億3100万円となっている。
提供:建通新聞社