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建通新聞社四国
2025/02/07

【愛媛】ROVで洗掘点検 四国フォーラムが初実験

 民間事業者が保有する技術やノウハウなどを活用し、インフラの施設管理者(自治体)が抱えるこれら施設の維持管理課題を解決する実証実験が2月3日に愛媛県宇和島市であった。インフラメンテナンス国民会議四国フォーラムの主催による初の実証実験。当日は同市の建設課職員をはじめ、フォーラム関係者など22人が参加し実験を見守った。
 実証実験のテーマは「確認が困難な水深が深い箇所の橋脚点検」。昨年11月に愛媛大学で開いたピッチイベントで同市が課題として要望していた。
 市によると、市道として管理する橋梁943橋を2巡目定期点検(2019〜23年度)した時点で、早期措置段階に当たる判定区分Vの橋梁は86橋あり、このうち35橋で下部工に損傷が認められ、さらに21橋で洗掘も確認されているという。
 下部工水中部の点検については「水深が深い」「河幅が広い」「潮の干満の影響を受ける」といった直接目視での点検が困難な箇所が存在することから、新技術を生かしてこれらの問題が解決でき、しかも安全で安価に実施できる方法を模索していた。
 これに対して技術やノウハウを提供していた日本工営(東京都千代田区)の「ROV(水中ドローン)での橋脚部洗掘点検(音響イメージング点検)」がマッチングされ、当日の実証実験となった。FullDepth社(東京都中央区)の水中ドローンを活用した橋梁現場での点検に実績のある技術で、調査精度が濁度に影響を受けない他、マルチビームソナーで水平・鉛直方向に計測することで河床と橋脚の形状が把握でき、より詳細な洗掘状況の把握が可能になるという。
 またホバリング技術に優れ、3ノットまでの流速に対応でき、従来の潜水士による点検に比べて安全性も確保できる。
 当日の実験で参加者は、市道岩松橋(橋長88・9b、橋脚3本)をフィールドに水中ドローンによる点検を見学。ソナー計測により、岸壁の洗掘や堆砂状態を鮮明にしかも寸法まで把握できる技術をモニター越しに体感していた。
 実験を終えて市建設課の榎義勝課長は、「近接目視が困難な高い橋脚の点検で空中ドローンを利用することがあるが、今後水中ドローンについても利用を検討したい」と話した。
 同フォーラム主催の実証実験は、3月5日に「経験と長い時間を要する施設の目視点検」をテーマに愛媛県久万高原町でも開催する。当日は夢想科学(大分市)の「特殊カメラツールと画像認証処理を組み合わせた点検技術」を紹介することにしている。

提供:建通新聞社