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建通新聞社(静岡)
2025/02/07

【静岡】伊豆地域の建設業 DXで担い手確保へ「I-CORE」始動 

 伊豆地域の中小建設企業が、業務におけるDX化の推進や生産性向上、災害発生時の効果的な連携を図ることを目的に、昨年12月に「一般社団法人I―CORE」を設立した。伊豆の国市建設業協会、伊豆市建設業組合、伊東建設業組合の会員企業32社が団結し、AI技術の活用・調査研究や関係機関との連携・情報交換などを通じて、担い手不足の解消や災害対応力の強化につなげていく。代表理事を務める土屋建設社長の土屋昭氏は「われわれ伊豆エリアの建設企業が、若手技術者の人材育成や、建設業の本流である『ものづくり』にこれまで以上に傾注できる態勢を整えるために、DX化は避けて通れない。各企業の生産性を向上させ、伊豆エリアひいては建設業の将来を見通せるような活動を、I―COREで実践していきたい」と展望する。
 法人におけるDX推進への初弾の取り組みとして、各社の業務効率化に向けてAIチャットシステムを導入することになった。1月23日に伊豆の国市内で開催されたシステムの導入説明会には、多くの会員が詰めかけた。
 AIシステム「光/Hikari」を開発した燈(あかり・東京都文京区)の執行役員である石川斉彬氏と、生成AI事業でマネージャーを務める星野泰輔氏が参加者に対し基本的な使用方法を説明した上で、機能のデモンストレーションを実施した。「工事進捗状況」「今後の予定」などのワードを入力しただけで取引先へのメール文面の作成が可能となる他、工程管理の会議メモを自動で議事録の体裁に生成するといった機能など、参加者が体感する機会を提供した。
 現場作業と施工関連の文書作成に忙殺されている技術者からは、「報告書作成などに割いていた時間や負担が大幅に軽減されそう」「公共建築工事の標準仕様書など関連書類を備えているため、探す手間が省けて効率化につながる」などの感想が寄せられた。
 燈の星野氏は、「開発に当たって、中小建設業者の実務者が抱えるリアルな悩みを把握することに努めた。日本語のみならず他国の言語に翻訳できる機能も備えており、業務サイクルの改善・見直しに生かしてもらえれば」と期待を込めた。石川氏は「システムを通じて作成した文書や会議録などの情報を蓄積することで、生産性にとどまらず技術力や施工管理面での向上を生み出すはず。情報をフィードバックすることで、現場のニーズに応える体制の充実につなげてほしい」と参加者に呼び掛けた。
 今後、I―COREでは地域建設業のDX化を加速させるため、官公庁の職員との意見交換や成果検証を進める他、講習会・セミナーの開催も計画している。
 「若者にとって『魅力ある建設業』であり続けるためには、地方の建設業者であっても最新のテクノロジーを取り入れて、合理化・省力化できる領域を拡大しなければならない。それが、社会基盤整備や災害対応などを通じて『地域の安心・安全を守る』という建設業の使命・役割を果たすことにつながる」。土屋代表理事はI―COREの理念として地域の格差を解消し、地域の枠組みを超えて、建設業の生産性向上への取り組みが急務であることを強調する。


提供:建通新聞社



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