日本建築士会連合会と都道府県建築士会が主催する2024年第15回高校生の「建築甲子園」で、準優勝を受賞した高岡工芸高校建築科チームの表彰式が1月30日、高岡市の同校で開かれた。同校の入賞は今回が初。
式には選手の名田纏さん、原瑛慎さん、林稜都さん(いずれも3年)と監督の長谷川慈教諭をはじめ、建築科1〜3年生の生徒112人、県建築士会の西野晴仁会長、徳田義弘副会長、今村彰宏専務理事が出席。準優勝の功績をたたえた。
建築甲子園は、まちづくりがテーマの全国設計コンペで、建築を学ぶ高校生が対象。県大会予選を勝ち抜いた1作品が全国大会に参加し優勝を争う。今テーマは、「地域のくらし−まちに住む・地域に開く戸建の住まい」。働きながら暮らすことができる、職住一体の戸建住宅の提案を募集した結果、68校115点の応募があり、県予選選出の40作品で全国大会を実施。一次審査を通過した12校のプレゼン動画により最終審査会が行われ、入賞作品が決まった。
準優勝を獲得した同チームのテーマは、「双開一結(そうかいいちゆ)〜双方に開き一つに結ぶ住まい〜」。宇奈月温泉街を舞台に、RC造2・5階建ての店舗併用住宅を建設し、駅前通りは薬膳料理の店で観光客、裏通りは薬屋で住民に開かれ、長屋の中にある一本の縁側で、人と人の新たなつながりを提案したのが特長。
表彰式で西野会長が「建築甲子園の準優勝は、高校野球の準優勝と同じく素晴らしい。賞はそれぞれの心の中に一生残り、光り続ける勲章。勲章はこれからの人生で起きる出来事の支え、飛躍するバネになる。大事にしてどんどん頑張ってほしい。今年度開催される建築甲子園にもぜひチャレンジし、全国優勝を狙ってほしい」とあいさつした。
続いて、選手3人に西野会長が賞状、今村専務理事が賞金、徳田副会長が賞品、西野会長が県大会優勝の副賞をそれぞれ贈呈。
徳田副会長は「平成4年から18年まで、本校の非常勤講師をしていた。準優勝は非常にうれしい」と話した上で、「コンペやプロポーザルの応募時は、何が求められているかをちゃんと理解することが大切。テーマを紐解き、これに対する提案をしないと受賞はできない」と強調。
さらに、建築甲子園の審査委員である、日本建築士会連合会青年委員会の吉田浩司委員長の講評を紹介し、「敷地設定や周辺環境の調査、地域の文化的背景の読み解きがしっかりと行われ、提案内容にも的確に反映されている。地域に開くテーマに対し、住まいと地域、住まいと観光客、観光客と地域をうまく結び付け、それを一つの縁側でつなぐアイデアはとても素晴らしい。設定された敷地を表は観光客、裏は地域住民と結び付く場所と読み解き、高低差を生かした立体的な縁側を中に配置し、緩やかで自然なつながり方を演出している。住む人、訪れる人も新たな発見、出会いを予見させるような魅力的なプラン」と説明した。
チームリーダーの原さんは「うれしい面もあるが、目標は優勝だったので悔しい」、名田さんは「自信はなかったが、準優勝をもらえてうれしい」、林さんは「夜遅くまで残る日もあり、頑張ってきた結果が形に残りうれしい」とそれぞれ感想を述べた。
長谷川監督は「全国の強豪校である富山工業高校に勝てない時代が続いたが、前回に続き今回も全国大会に出場できた。建築の教員は3年目で、建築甲子園も3回目の挑戦。本校が最終審査会(決勝)に残り、入賞できたのは初めて。3回出場した中では、一番リアリティーのある提案だったが、入賞は厳しいかなとの感触だった。生徒が考えた作品が評価され、とてもうれしい」と話していた。なお、選手3人はいずれも大学に進学、建築設計を学ぶという。