横浜市が1月27日に発表した2025年度の当初予算案によると、施設等整備費は全会計の総額で4451億4400万円(24年度比4・5%増)となり、ほぼ前年並みを確保した。防災・減災対策に重点を置き、避難所となる小・中学校体育館への空調整備を前倒しするための費用を拡充。また、旧上瀬谷通信施設地区を市内初の広域防災拠点として活用できるよう、防災備蓄倉庫の整備に向けた基本計画の検討などを新たに始める。
歳出のうち、公共投資に必要な施設等整備費の内訳を会計別にみると、一般会計が2002億2600万円(0・9%増)、公営企業会計が1617億1200万円(1・5%増)でほぼ横ばい。
一方、特別会計が832億0600万円(22%増)となり、全体の伸びを後押しした。関内駅前地区の再開発や旧上瀬谷通信施設地区の整備事業が進み、市街地開発事業費が24年度と比べ26・8%増加したことなどが要因。総額は令和に入って以降、市庁舎建て替えなどに伴う支出があった19年度の4559億円に次ぐ規模となる。
=防災・減災対策に82・4億円=
25年度は、中期計画の最終年度として総仕上げに取り組むとともに、能登半島地震を契機とした防災・減災対策、グリーン社会の実現に向けた施策などを予算の柱とした。
このうち防災・減災対策では、25年度にスタートする新しい地震防災戦略を踏まえた事業を展開する。2月補正予算案を含め、82億4000万円を配分した。
具体的には、避難所の環境改善に向け、小・中学校の体育館へ空調を整備するため14億7400万円を計上。これまでの計画を5年前倒しして、29年度までに全校への設置を完了させる見通しだ。
併せて、トイレの洋式化を加速する費用として24億0200万円を充てる。学校だけでなく、帰宅困難者などを想定して公園トイレの洋式化にも取り組む。
また、災害が起きた際の体制強化を目指し、旧上瀬谷通信施設地区(瀬谷区・旭区)を広域防災拠点にするための準備を進める。
各避難所に物資を届けられるよう、延べ床面積4000平方bの備蓄庫を整備する方針で、25年度は2000万円を割いて基本計画の策定に着手。29年度の完成を目指す。全国から集結する自衛隊などの応援部隊を調整・統率する現地指令施設の整備に関しても、5000万円を投じて基本設計をまとめる。
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これらの事業を盛り込んだ25年度当初予算案の規模は、一般会計1兆9844億円(3・6%増)、特別会計1兆3649億円(4・4%増)、公営企業会計6387億円(4・5%増)の総額3兆9881億円(4%増)となった。1月28日開会の第1回市会定例会に予算案を提出する。
=週休2日の標準化やASP活用推進=
予算の執行に当たり、公共工事に関しては債務負担の拡充や発注・施工時期の前倒しなどで平準化を進めるとともに、週休2日制を前提として積算する発注方式(標準化)へ移行することを検討中。
工事書類のデジタル化では、発注者指定型でASPを活用する工事の導入を図るなど、建設業の働き方改革を支援する。
提供:建通新聞社