秋田市まちづくり戦略室は30日、市議会総務委員会(閉会中)で新スタジアム整備に関する市の考え方を説明。市が事業主体となって整備する方針を固め、7年度に(仮称)新スタジアム基本計画を策定する。事業手法はPPP/PFI等の官民連携手法を基本とし、7年度に導入可能性調査を行って検討する。5,000人以上を基本としつつ10,000人規模の施設を目指すとしており、、ブラウブリッツ秋田のJ1昇格も見据え、拡張性を備えるかについておある施設にするかを検討する。
市が進めている外旭川地区まちづくりにおいて、卸売市場再整備後の余剰地に建設が想定されていたスタジアムだが、昨年11月市議会では、八橋運動公園の第2球技場と健康広場を建設予定地として県と合意した旨が報告され、八橋運動公園への建設が決まった。
都市公園に公設で整備すれば、国の補助制度活用が期待でき、PFIなどの官民連携手法も可能になるとして、公設の方針を固めた。Jリーグやラグビーの試合、中高生の大会、健康増進のイベントなどで多目的に活用でき、防災機能も備えた公共性の高いスタジアムを目指す。
PPP/PFIを従来手法と比較した場合、一括発注・性能発注により財政負担の軽減が期待できるほか、起債や民間資金の活用により、初期段階の財政支出抑制が見込まれるという。
また、設計・施工・維持管理・運営を一体的に民間へ委ねることで、民間の技術力やノウハウを最大限に活用できるとし、PPP/PFIの方が有利だという見方を固めた。
市有地の旧文化会館跡地との一体的な利活用を行うことで、公園全体の利便性向上を図りたい考え。PPP/PFI等の手法を導入する場合、例えば民間事業者が同跡地で「稼げる」事業を展開し、その収益をスタジアム運営費に充てるなど、民間のアイディアによる整備・運営手法も検討する。PFIの具体的な手法については、7年度に実施する導入可能性調査で検討する。
施設規模については、スタジアム基準の改定による入場可能数の緩和を受け、5,000人以上を基本としつつ、10,000人規模を目指す。ブラウブリッツ秋田の将来的なJ1昇格も視野に、どれだけ拡張性を備えられるかを勘案しながら、必要面積や事業費などを基本計画で検討する。多機能・多目的な施設とし、すべての観客席を覆う屋根を設置する予定。
「スタジアム整備のあり方検討委員会」以降、建設に向けては県とともに検討を進めてきたことや、公共性の高いスタジアムを目指すことを踏まえ、県にも市と同等の費用負担を要請する。一方で、ホームスタジアムとして利用するブラウブリッツ秋田とも連携し、経済界や関係団体などにも協力を要請、民間資金の確保に努める。
企業版ふるさと納税も含め民間事業者からの寄附を広く募るほか、活用可能な国の補助金等を検討する。現時点では国交省の社会資本整備総合交付金、防災安全交付金、内閣府の新しい地方経済・生活環境創生交付金(第2世代交付金)、拠点整備事業、JSC(日本スポーツ振興センター)のスポーツ振興くじ助成金による支援などの活用が想定されている。
30日の総務委員会では、安井誠悦委員(市民クラブ)が施設規模について、「国内でも新スタジアムの建設で5,000人の議論をしているところはない。入場料のことも考えれば、最低でも10,000人は必要だ」と指摘。市は「5,000人規模を基準としつつ、10,000人規模を目指してこれから検討していく」と答えた。
委員会終了後、ブラウブリッツ秋田の加藤芳樹専務取締役が取材に応じ、「10,000人規模を目指すという方向性が示されたこと自体がありがたく、感謝している。我々も10,000人規模を目指してきたし、多くの人にゲームを観てもらい、多くの市民県民に利用されるスタジアムを目指したい」と話した。
提供:
秋田建設工業新聞社