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建設経済新聞社
2025/01/29

【京都】大谷本廟に新たな納骨施設増築 国道1号沿いの駐車場敷地に計画 京都市美観風致審議会景観小委で事前協議

 京都市東山区の大谷本廟に新たな納骨施設を増築する計画が28日明らかになった。
 大谷本廟(京都市東山区五条橋東6丁目514)は、浄土真宗の宗祖親鸞聖人のご廟所(墓所)。敷地面積は4万2374・87u(うち境内エリアの面積は2万2014・77u)。
 大谷本廟新納骨施設「第三無量寿堂(仮称)」増築計画について、風致地区で定める高さ制限を超えることから、京都市美観風致審議会への諮問を予定。本諮問にあたり、美観風致審議会専門小委員会で事前協議し意見を聴いた。
 計画によると、東山五条交差点東側に位置する大谷本廟の円通橋を渡った東側、国道1号沿いの駐車場として利用している敷地に第三無量寿堂を増築する《図参照=右奥が第三無量寿堂(円通橋から見たイメージ)》。
 計画地の東側には本廟会館のほか、第二無量寿堂、第一無量寿堂があるが、墓地納骨エリアは既に空きが限られる中、老朽化する2棟の無量寿堂の耐震改修あるいは建替えが大きな課題となっている。既存建物の工事を行うため、既にある遺骨を一時的に移すことができ、かつ将来に向け新たに必要となる納骨スペースを確保するため、3棟目の無量寿堂を増築する計画。
 新たに建設する第三無量寿堂は参道入口とバス停に最も近く、また庭園に隣接する立地。納骨堂であるとともに、訪れる人々が礼拝の前後に立ち寄り、安らぐことのできる場所にしたい考え。
 また第三無量寿堂の建設にあわせ、参道レベルから総門に至るバリアフリー動線を整備。建替えるトイレ棟の入口前までの動線を新設し、既存スロープとつなげる。
 計画地は用途地域が第二種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)で、12m第2種高度地区、風致地区第2種地域、歴史的風土保存区域。
 風致地区第2種地域の規制を踏まえ、[既存参道の緑豊かな環境を意識した計画]▽敷地の起伏に沿い建物高さ設定▽長大な屋根面・外壁面の分割▽参道からの壁面セットバック+緑化、[既存建物と連携しつつも時代に合わせた外装計画]▽一部共通する素材の選定▽石張りの基壇形成−といった景観形成の考え方を採り入れる。
 計画建物はRC造+S造(混構造)地下2階地上2階建、延約2310u(建築面積約860u)。地下2階は納骨室・合同参拝室(個々の遺骨を預かる共同の納骨堂と参拝室)、地下1階は駐車場・バス停、1階はインフォメーションセンター・ラウンジ(参拝者への窓口と、参拝前後の待合・休憩スペース)、2階は儀礼空間、ブリッジ(本廟会館へアプローチ可能なバリアフリー動線)。エレベーターを設置する。
 ブリッジを支える柱は、既存擁壁に干渉しないよう新築建物から持ち出し、築地塀手前にエキスパンションジョイントを設ける。既存の築地塀にはブリッジと接続する部分に門扉を新設する。
 バリアフリー動線の整備に伴い、既存守衛所は撤去、トイレ棟は建替える計画。
 ラウンジからは、水盤越しに皓月池(こうげつち)の既存樹木を望むことができ、西方を向く切妻の開口部からは西の空を望む。屋上南側の生垣と水盤脇の立上りにより、建物南側に位置する高架道路を視覚的に遮るとともに、水盤の水音により高架道路の騒音をやわらげる。
 建物軒高さは12m、最高高さは15m。基礎形式はコンクリート既成杭。
 2階建部分を東側に寄せ、敷地の起伏に沿った建物高さとする。参道及び国道1号側の壁面は約3m及び約3・5mセットバックし、セットバックにより確保したスペースを緑化することで、現況の参道風景を維持し、国道側は圧迫感の軽減とバス停利用者の安全性に配慮する。屋根や外壁を雁行・分割し、長大にならないように配慮する。
 隣接する既存建物(本廟会館、第二無量寿堂など)の仕上げと合わせ、基壇部分は石張り、国道側外壁は杉型枠打放し仕上げとする。
 今回の建築工事に伴い既存の樹木は伐採するが、セットバックして得られたスペースに地上高木41本やその他低木、地被類等を植樹するとともに、屋上(第三無量寿堂の躯体の上部にあたる場所に、人工軽量土壌を敷いた上で)高木9本やその他低木、地被類等を植樹する。
 設計は三菱地所設計が担当。
 このほか美観風致審の景観専門小委では、兜ミ岡製作所の本社・研究開発センター新築計画(外構計画)の報告もあった。