県、国土交通省航空局、成田国際空港、空港周辺9市町は24日、「成田空港に関する四者協議会」を県庁本庁舎5階大会議室で開き、空港を核とするエアポートシティ(仮称)実現のための推進主体「(仮称)NRTエアポートシティデザインセンター(NARITA Airport City Design Center)」を4月に設立することについて合意した。デザインセンターにおいて、エアポートシティに関する提案募集などを行うとともに、協力して検討を行う民間事業者などを公募などで選定することを検討している。
空港のさらなる機能強化や「『新しい成田空港』構想」による効果を空港のみならず周辺地域にも最大限波及させるため、「成田空港周辺の地域づくりに関する『実施プラン』」に掲げた、暮らし・産業・インフラの各分野における取り組みを強力に推進。エアポートシティの実現により、さらなる航空需要の創出、国内の経済発展、国際競争力の強化に寄与していく。
県と空港会社は、市町との合意形成、国との調整が必要な取り組み、企業誘致、騒音対策など地域共生の取り組みなどを、デザインセンターと連携して実施する。また、市町には、各種計画への反映、各種開発構想・関連インフラを含めた事業の推進、地元との合意形成、関係者調整などの役割が期待されている。
デザインセンターの当面の実施業務は▽エアポートシティとしてのビジョン案およびロードマップ案の策定▽地域全体に係るエリアゾーニング案の策定▽空港を核とした地域公共交通ネットワーク構築に向けた取り組みの推進▽産業拠点の形成に向けた取り組みの推進▽エアポートシティ実現に密接に関係する市町のまちづくりに対する支援。
会議の出席者は、熊谷俊人知事、平岡成哲・航空局長、田村明比古・代表取締役社長、9市町(成田市、富里市、香取市、山武市、栄町、神崎町、多古町、芝山町、横芝光町)の首長。
熊谷知事は、冒頭のあいさつで「わが国の国際競争力を強化するための産業拠点形成の取り組みを加速化していくためにも、新たな組織体制は重要」と話し、「成田空港の年間発着回数50万回化と、その効果による空港内外の一体的な発展に向け、新たな一歩を踏み出すことになる」と強調した。
空港周辺地域の将来像の実現に向けては、「実施プラン」と「『新しい成田空港』構想」を踏まえ、エアポートシティのビジョンやゾーニング案の策定、国際的な産業拠点の形成、地域公共交通ネットワークの構築など広域的な調整が必要な取り組みを加速化するための推進体制について具体的な検討を開始し、2024年9月4日には県と空港会社で推進体制準備会議を立ち上げた。
準備会議において3回にわたる会合を持ち、検討が深まったことから、今回の四者協議会で推進主体設立について説明を行った。
そのほか、C滑走路供用開始までの年間発着回数30万回を超える運用について協議。インバウンドの増加を背景とした航空需要の拡大を踏まえ、10月末以降の冬ダイヤから年間発着枠34万回で運用することについて確認した。
拠点形成に向けて着実に要素そろう
会議終了後、熊谷知事、田村社長、平岡局長、小泉市長が特別会議室で記者団の取材に応じた。
熊谷知事は「エアポートシティ実現のための推進主体設立について合意がなされたことは非常に大きい。首相への要望、実施計画の見直し、新産業特別区域における5分野の追加といった流れの中で、国際産業拠点形成に向けて必要な要素が一つ一つそろってきている」との見方を示した。
田村社長は「さらなる機能強化のタイミングで、周辺の発展のための施策を講じていくことは非常に重要。増加する空港従業員にとってより良い生活環境を提供するのは、空港会社の責務」とし、県との協力の下、エアポートシティの推進に関わっていきたいと述べた。