県長浜土木事務所は、県と民間企業が連携し行う県内初の治水対策となる長浜市の三菱ケミカル鰹蒲Lグラウンドにおける「米川」の遊水地整備事業について、24年度は事業用地の施工地活用に伴う賃借契約に向けた補償調査等3業務を委託済で、推進中の三菱ケミカル社との土地権利や補償についての協議を25年度も進めていきたい考え。遊水地の確保規模は予備設計段階で想定した貯水量約6300dから現状では約6000d。事業費や着工時期、工期は未確定だが、早期の着工を目指し諸準備を進める。
24年度は米川補助河川総合流域防災補償調査業務(24年12月3日開札)を林設計事務所(大津市)に委託し建物等の補償調査一式を206日間の委託期間で、米川補助河川総合流域防災用地測量業務(24年10月9日開札)を関西建設コンサルタント(彦根市)に委託し用地測量6200平方b規模を3月10日まで、米川補助河川総合宙域防災調査業務(24年10月8日開札)をエフウォーターマネジメント(大津市)に委託し水位観測等を396日間で、それぞれ進めている。
詳細設計は22年度末に米川単独河川改良設計業務を日本工営都市空間滋賀事務所(大津市)に委託し、長浜市一の宮町地先で計画する遊水地の詳細設計と、洪水調節効果の照査を行い23年度完了。
20年度は予備設計を建設技術研究所滋賀事務所(大津市)、測量業務をジオ・クリニック(長浜市)にそれぞれ委託。予備設計は工法や規模・事業費について一層精査のため期間延長し22年3月完了した。概略設計は中央コンサルタンツ(本社・名古屋市西区、滋賀事務所・大津市)が担当。
米川の遊水地整備は、治水に係る地元要望などを受け、宅地等が多く用地を取得しての拡幅や改修が難しい「米川」で行える効果的な治水事業として、県長浜土木事務所が中心となり促進。近くの三菱ケミカル物流樺キ浜支店(長浜市一宮町)が所有し近隣住民などに開放している多目的グラウンド(同)を掘り下げ、会社利用と遊水地としての利用を両立させる案を申し入れたところ、地域の安全に資するとして同社が賛同し快諾。滋賀県と三菱ケミカル且賀事業所、そして長浜市の3者が協力・連携してこれを推進するための協定を20年3月30日付で締結した。
連携して整備するのは、三菱ケミカル鰍ェ所有する多目的グラウンド約1万平方b。現在、グラウンドの他、多目的広場、緑地、地震時の避難場所等として利用されている。計画では、中心部分を10年に一回程度の豪雨に対応できる遊水として使用できるよう1b程度掘り下げ、併せて米川に隣接する東側に流入口・排水口、そして周辺に維持管理用道路、階段、樹木保存―などを施す。24年度現段階での想定貯留量は約6000d。
施工により多目的グラウンドの形状は一部変更されるが平時は今まで同様、グランド・多目的広場等として活用を図り、万が一に備えるものとする。併せて掘り下げによって生じる土砂の処理は、地主である三菱ケミカルの意向をふまえた上で、他の公共工事への流用なども検討する。
提供:滋賀産業新聞