北陸地方整備局と富山県建設業協会との意見交換会が23日、富山市の富山電気ビルで開催され、建設資材価格の変動に対する適切な対応などに関し議論を交わした。
整備局から高松諭局長のほか、信太啓貴企画部長、勝見康生建政部長、桜田由香里営繕部長ら12人、協会からは竹内茂会長、山本隆・大橋聡司両副会長、各常任理事ら17人が出席した。
高松局長は能登半島地震の支援活動に謝意を示し、地域の守り手として今後の力添えを求めた上で、「今年は穏やかな年を迎えた。除雪作業従事者の方々には敬意を表したい。冬場の天気の良い日に効率良く仕事をするため、DXの取り組みが大事。補正予算を活用しながら、労務単価と資材価格アップや強靱化、生産性向上の取り組みに努め、切れ目なく速やかに執行したい」と話し、「新しい担い手3法が施行され、現在は北陸けんせつミライ2025を策定中。柱は適正利潤の確保、待遇・働き方、未来につながる建設現場の3つ。直轄ではこれを基に取り組みを進めていくが、県や市町村、民間の発注者にも広げていきたい」との考えを述べた。
一方、竹内会長は「仕事の発注形態は県、市町村もほぼ一緒だが、電子入札や電子契約、電子納品などはあまり進んでいない。担い手3法が改正されたが、発注者の末端の技術者まで、きちんと認識してもらうことが大事。対応が一律となるようお願いしたい。地域の業者がまんべんなく仕事を受注しながら、運営できるようご指導をお願いしたい」と話した。
整備局が予算の概要や新たな施策の取組状況、担い手3法の改正内容などの情報を紹介した後、協会側の提案議題に対し、同局が回答する形で意見交換が行われた。
公共事業予算の安定的・持続的な確保を求めた点で局側は、予算確保に努める方針を伝えた上で、「新年度から発注ロットが上がることに応じて、ロットや仕事量を熟慮して発注したい」との考えを述べた。
建設資材価格等の変動に対する適切な対応を要望した件は、「実勢価格はどうしてもタイムラグが発生する。速やかに取引価格が反映されるよう調査会に働き掛けるとともに、来年度の調査業務では特記仕様書の業務計画書に、市場動向を速やかに反映させるための方策を記載する新しい取り組みも行う」と説明。民間発注者への指導の徹底を要請した点は、「今後、法改正に沿って順次行う」と回答した。
仮設計画を含む工事の設計図書について、より精度の高い設計に基づく発注の徹底を要望したのに対し、局は「コンサルと十分に打ち合わせを行い、より精度の高いものを提供できるよう努める」とし、円滑な工事着手へ発注前の地元協議、支障物件の移転手続きの完了を求めた件は、「分かりやすい条件明示を徹底する」、コンサルの成果品に誤りがあった場合、契約不適合責任に基づき履行の追完を請求することも検討するよう要望した点は、「不備があった場合は発注者責任として対応する」と回答。
低入札価格調査基準のさらなる引き上げと上限の撤廃を求めた件は、「平成31年と令和4年に見直しを行った」とし、毎年実施している諸経費動向調査への協力を求め、「設定範囲や計算式の係数は、本省とも共有したい」と伝えた。
市町村に対する第三次・担い手3法の遵守状況の検証と協力な指導を要請した点は、「北陸ブロック発注者協議会を通じ、各市町村に働き掛けている。北陸独自の取組としてキャラバン活動も行い、市町村に出向き、個別に周知や支援をしている」と説明した。
安定的・持続可能な除雪体制の確保に関し、固定経費のさらなる増額を求め、「国交省として令和3年度から、少雪時における道路除雪工の固定的経費の積算方法を試行している。除雪オペレーターの確保へ、令和2年度から北陸地整独自に、一定期間の待機費用を支払う取り組みを行っており、令和4年度から除雪受注者の希望があれば、随契で4年間継続できる制度も導入した」と紹介。ICTを活用した除雪機械の拡大要望に対しては、「省力化・自動化を進めるため、機械の更新時期には順次導入している」と回答した。