国土交通省肱川ダム統合管理事務所は、野村ダムに民間事業者が設置・運営(民設民営)の水力発電所を新設する。事業候補者をプロポーザル方式により決めるため、公募手続きを開始した。ダムの水力発電設備の工事や運営の実績がある企業(連合体)などを対象に、5月15日まで参加を受け付ける。参加申し込み確認結果の通知は5月29日。5月29日から8月27日まで企画提案書などの提出を求め、9月10〜11日にもヒアリングを行い、11月に事業者を決める予定。公募に当たり、2月3日に現地見学会を開く。
気候変動への適応やカーボンニュートラルの実現を目指し、治水機能強化と水力発電の促進を両立させるハイブリッドダムの取り組みの一環。ハイブリッドダムの事業者公募は国交省が管理するダムにおいて、四国では初めての試みとなる。野村ダムには既に直轄の管理用発電所を備え、毎秒約1・6立方bの放流水を取水し最大出力665`hの発電をしているが、発電に利用できていない放流水が毎秒13立方bほどある。こうした未利用の水力エネルギーを有効活用するとともに、民間活力を生かした地域振興も目的としている。
11月の事業候補者の特定後は、費用の負担割合や精算方法、発電所の完成期限、施設の管理方法、企画提案の内容などについて協議。事業候補者または事業候補者が設立する新会社と四国地方整備局との間で基本協定の締結などを行い事業に着手する。順調なら2030年1月の新発電所運用開始を見込んでいる。
野村ダムは洪水調節やかんがい用水、水道用水を目的に1982年3月に完成した重力式コンクリートダム。堤高60b、堤頂長300b、総貯水量1600万立方b、有効貯水容量1270万立方b。所在地は愛媛県西予市野村町野村地先。
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建通新聞社